Triblidium sp. no.1
Triblidium sp. no.1.
クヌギの樹皮上に生える小型菌。3月4日撮影。
[特徴]
子嚢盤は単生ないし少数が群生する。初めは平たい饅頭形で上面はくぼんでいる。比較的硬く、表面は粗造でひび割れる。
上面中央付近は白っぽい物もある。直径 1.5-3.0 mm.、高さ 1.0 mm. 程度。ほとんど無柄。
成熟するとやや膨らみ、上面が不規則な放射状に裂開し子実層を現す。子実層面は透明感のある灰色ないしクリーム色。--
子嚢は長棍棒形でやや厚膜に見える。8胞子をほぼ一列に生じるが後には先端にやや不規則に固まる物が多い。
ヨード反応は見られないが未熟な子嚢の内容物はヨードで赤褐色になる。280-310 × 28.0-33.0 μm. --
側糸は糸状、無色で隔壁がある。径 1.5 μm. 程度、先端はわずかに膨らんで 2.5 μm. 程度になる。先端近くは不規則に曲がりくねり、子嚢より長い。--
子嚢胞子は長卵形ないし紡錘形で末端はやや長く伸び、無色。厚膜で横に 9-12 隔壁、縦に(片面で)0-3 隔壁を生じ石垣状。
隔壁部はわずかにくびれ、内容物はヨードで赤褐色になる。被膜等は見られない。40-50 × 13.2-14.3 μm.
[コメント]
早春にクヌギの樹皮上に発生する。胸高直径 30 cm. 程度以上の木の北側から西側あたりに出ていることが多いが、
多く発生している木と全く発生していない木が隣り合わせにあったりして発生条件がよくわからない。
石垣状の胞子などの特徴は Triblidium 属の特徴と良く一致する。
Triblidium calyciiforme は Quercus 属の樹皮上に発生するが、4胞子性というからこれとは異なる。
[別図2]
採集後、湿室にいれ成熟させたもの。4月7日撮影。
[参考文献]
Dennis (1981): British Ascomycetes. Rev. ed.
[初掲載日: 2006.04.14]