Triblidium sp. no.2

Triblidium sp. no.2

Triblidium sp. no.2
トリブリディウム属菌。3月1日撮影。

[特徴]
子実体は始め表皮下に生じ、成長に従って表皮を破って表面に現れる。幼時は饅頭型、黒色、表面は硬く、ひび割れ状で粗造、径 1.5-2.5 mm. 程度。 成熟すると上面が不規則にひび割れて裂開、反転し子実層が現れ、展開した外皮は幅広い裂片となって残る。子実層面は平滑、灰白色。柄は無く、やや広く基質に固着する。-- 子嚢は下半が細長く伸びる棍棒状、やや厚膜、先端は肥厚せず、特別な構造は見られず、メツルァー試薬で呈色しない。8胞子を束状に生じる。220-260 × 20-24.5 μm. -- 側糸は糸状、無色、隔壁があり、分岐と吻合があるようだが不明瞭。上半は曲がりくねり、径 1.5-2.0 μm.、ゼラチン様物質で互いに合着する。-- 子嚢胞子は長紡錘形、無色、やや厚膜、表面は細かく丸い疣状、ほぼ等間隔に隔壁があり、31隔壁32細胞、内容物は泡状。 隔壁部はややくびれ、下半はやや細長く、両端は尖って薄壁、やや乳頭状に突出する。145-177 × 8.5-8.8 μm.

[コメント]
アベマキ (Quercus variabilis) の生木樹皮上に発生していたもの。 無色で粗面、長紡錘形で複数の横隔壁のある子嚢胞子が特徴的で Eriksson (1992) によって創設された Huangshania 属の特徴と良く合う。 Huangshania 属には子嚢胞子が15隔壁16細胞の H. verrucosa Eriksson と 7隔壁8細胞の H. novae-fundlandiae (Rehm) Magnus が知られていて、共にマツ類から記録されている。 最近 Lv et al. (2019) は、DNA 解析の結果を基に Huangshania を Triblidium のシノニムとしたので、それに従って Triblidium 属の一種としておく。

[別図2] 3月1日撮影。

[参考文献]
Eriksson (1992): Huangshania verrucosa gen. et sp. nov. (Triblidiaceae, Triblidiales ordo nov.), a discomycete on Pinus from China. (Systema Ascomycetum ; 11(1), p. 1-10).
Karakehian et al. (2019): Placement of Triblidiaceae in Rhytismatales and comments on unique ascospore morphologies in Leotiomycetes (Fungi, Ascomycota). (MycoKeys ; 54, p. 99-133).
Lv et al. (2019): Three new species and a new combination of Triblidium. (MycoKeys ; 60, p. 1-15).
Magnus (1997): Weltmonographie der Triblidiaceae. (Bibliotheca mycologica ; 165).

[初掲載日: 2020.04.17] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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