Tympanis sp. no.1
Tympanis sp. no.1.
ティンパニス属菌。1月8日撮影。
[特徴]
枯枝の表皮を破って少数が房状に固まって発生する。子嚢盤はコマ形、直径 0.5-1.2 mm.、乾時は比較的硬い肉質、湿るとやや膨らんで軟骨質になる。
子実層面は黒褐色、つやは無く、やや皺状。外面も黒褐色、無毛でやや皺状。--
子嚢は円筒形、やや厚膜、先端は肥厚して丸く、短い柄がある。メルツァー液に呈色しない。68-83 × 14.0-17.2 μm.。
初め8胞子を一列に生じるが子嚢内で出芽して多数の二次胞子で満たされる。--
側糸は糸状、隔壁があり殆んど無色。直径 1.0-1.5 μm.、先端は不規則に膨らんで 3.5 μm. 程度までになる。
先端は子嚢よりも長く伸びて子実上層を形成し、褐色の不定形ヤニ状の物質に覆われる。--
子嚢胞子は球形、無色薄壁、直径 5.0-5.3 μm.、中央に隔壁を生じ2細胞になる場合がある。
両端から発芽し、楕円形の細胞(1.7-2.4 × 0.8-1.0 μm.)を連続して生じ、さらに先端に桿菌状の二次胞子(0.3-0.5 × 1.5 μm. 程度)を生じる。--
托髄層は径 2.0-2.5 μm. 程度のやや厚膜淡褐色の菌糸からなる絡み合い菌組織でややゼラチン化しているようにみえる。
外皮層は厚さ 30 μm. 程度、径 4-6 μm. 程度の厚膜褐色の多角形細胞からなるが、髄層との境界はやや不明瞭。
[コメント]
アオキの枯枝に発生していた物。Tympanis 属菌は日本では針葉樹の病害菌として報告されている種が多い。
[参考文献]
Ouellette and Pirozynski (1974): Reassessment of Tympanis based on types of ascospore germination within asci. (Canadian journal of botany ; 52, p. 1889-1911).
[初掲載日: 2012.01.23]