? sp. no.28
? sp. no.28.
よくわからないキンカクキン類。3月29日撮影。
[特徴]
子嚢盤は地中の菌核から単生する。椀形からほぼ平らなビョウ形になる。子実層面は平滑、淡灰褐色からほとんど乳白色。
縁は全縁、外面は無毛、ほぼ同色。直径 1.5-3.5 mm. 柄はやや茶褐色、ほぼ無毛ないしわずかに粉状に見える。径 0.2-0.4 mm. 程度、
やや曲がりくねりながら地中に入り菌核につながり、普通は長さ数ミリ程度まで、長いものは 20 mm. を超える。--
子嚢は円筒形、先端は肥厚し頂孔はメルツァー液で青変し、基部にはかぎ形構造がある。8胞子を1列に生じるが後にはほぼ2列になる。 102-115 × 8.2-8.6 μm. --
側糸は糸状、無色、隔壁がある。少なくとも基部以外では分岐は見られない。径 1 μm. 程度、先端は次第に膨らんで 2 μm. 程度になる。--
子嚢胞子は紡錘形、両端はやや尖り、無色、薄壁、平滑。薄い膜状の鞘があり、射出後はやや膨潤する。まばらに泡状の内容物が少量ある。14.8-18.2 × 4.5-5.4 μm. --
托髄質は絡み合い菌組織、ほぼ無色の直径 10 μm. までの菌糸よりなる。外皮層は厚さ 100 μm. 程度、ほぼ無色で直径 16-50 μm. の球形細胞よりなる。
ゼラチン化している部分は見られない。柄表面は径 2.5-3.2 μm. の淡褐色の菌糸からなり、先端は径 6-7 μm. までに膨らんで棍棒状になりわずかに立ち上がる。--
菌核は扁平な不整円盤状ないし饅頭形、外面は黒褐色。直径 0.5-1.5 mm. 程度。
[コメント]
春にヒサカキ (Eurya japonica) の樹下に発生する。おそらくヒサカキの花(子房)に菌核を形成するものだと思う。
ヒサカキは不完全な雌雄異株性で混生するが雄株と雌株のどちらの樹下でも見つかる。[別図4] の菌核を実体顕微鏡下で解剖してみた。
萼の内面、子房基部あたりがやや黒褐色盤状に肥厚している。寄主の組織が子座化しているようで、遊離菌核ではなさそうだが、外れやすい。
内部は柔らかくて崩れやすく組織構造を調べる事ができなかった。キンカクキン類、Ciborinia 属あたりかと思う。子嚢胞子が紡錘形のキンカクキン類は少ない。
[別図2]
3月29日撮影。取り出して並べた物。
[別図3]
3月16日撮影。
[別図4]
3月25日撮影。子実体の拡大。
[別図5]
3月7日撮影。子実体根元近くに見える黒い粒が菌核。
[初掲載日: 2010.04.28, 最終更新日: 2024.03.28]