? sp. no.34

? sp. no.34

? sp. no.34.
ピロネマキン科(Sowerbyella?)の不明種。 9月15日撮影。

[特徴]
子嚢盤は側面が基部まで切れ込んだ椀状、直径 1-2 cm.、高さ 1.5-2.5 cm.、 子実層面は平滑、淡黄色ないし白っぽい感じの山吹色、縁はやや内屈して細かい鋸歯状になり、所々に小さな切れ目がある。 外面は明るい黄褐色で無毛、微細な褐色の粒がまばらに付着する。 柄は短いかほとんど無く基質に固着するが、朽木上に発生したものには短い柄があり、基部付近は時に微毛状になる。-- 子嚢は円筒形、有蓋、メルツァー液で呈色しない。基部は二叉状になる。8胞子を一列に生じる。12.2-14.0 × 220-269 μm. -- 側糸は糸状、基部付近で分岐し、隔壁がある。先端はわずかに膨らんで丸い鉤状に曲がり、上半には無色ないしわずかに黄色を帯びる泡状の内容物がある。直径 2.8-3.4 μm. -- 子嚢胞子は楕円形、時にやや左右不対称、無色。未熟時には2油球を含むが、成熟時にはやや不明瞭になる。表面にはコットンブルーで染まる低い疣状突起がある。 疣は高さ 0.5 μm. 以下、時に縦長の短い脈状になり、両端部では密度が高くやや厚くなる。疣を除いて 6.5-8.2 × 14.5-16.6 μm. -- 托髄層はやや疎な絡み合い菌組織、径 5-9 μm. の無色の菌糸からなる。外皮層は厚さ 100 μm. 程度、やや角ばった淡黄色で薄壁の球形細胞からなる。 各細胞は径 12-20 μm. 程度、表面では所々で房状に盛り上がり、時に長さ 40 μm. 程の毛状菌糸が伸びる。最外層の細胞の表面には黄褐色の細かい顆粒状の結晶がまばらに付着する。

[コメント]
落葉樹林内の地上や腐朽の進んだ朽木上に単性あるいは少数が束生する。側面が切れ込んでいるので Otidea 属の菌だと思って採集したのだが、子嚢胞子の表面が粗面だった。 Otidea 類の胞子は普通は平滑である。Sowerbyella 属は疣状あるいは網目状の子嚢胞子を持つが日本産として記録のある S. imperialis とは違うようだし、 ほかにも該当する種類が見当たらない。 同様に粗面な胞子が特徴の近似属 Otideopsis 属(Otidea に含まれるとする意見もある)にも一致する種類は見当たらないので、 とりあえず Sowerbyella あたりの不明種としておく。

[参考文献]
Liu and Zhuang (2006): Relationships among some members of the genus Otidea (Pezizales, Pyronemataceae). (Fungal diversity ; 23, p. 181-192).
Yao and Spooner (2006): Species of Sowebyella in British Isles, with validation of Pseudombrophila sect. Nannfeldtiella (Pezizales). (Fungal diversity ; 22, p. 267-279).

[初掲載日: 2012.12.20]