? sp. no.39
? sp. no.39.
よくわからない盤菌類。6月18日撮影。
[特徴]
落葉上に単生あるいは数本程度散生する。子実体は子実層の形成される頭部と柄からなる。
頭部は楕円形ないし棍棒状、2-4 × 1-3 mm.、表面は平滑、クリーム色からややピンク色を帯びた象牙色、中実。
柄との境には不稔性の溝 (sterile groove) があり、小さく反り返って明瞭な襟状になる。
柄は太糸状、8-40 × 0.3-0.8 mm.、やや淡色、中実、表面は平滑だが基部付近は微毛状になる。全体に軟らかい肉質でゼラチン質ではない。--
子嚢は円筒形、薄壁、先端は肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変する。基部にはかぎ型構造がある。8胞子を2列に生じる。65-69 × 5.4-5.8 μm. --
側糸は糸状、無色。径 2.0-2.5 μm.、先端は普通は殆んど膨らまないが、時に槍状に膨らむものがあり径 3.7 μm. までになる。--
子嚢胞子は長楕円形、やや左右不対称、無色、薄壁、平滑、両端付近に小さな油球がある。8.3-10.8 × 2.0-2.6 μm. --
頭部の髄層は径 4.2-7.0 μm. の無色薄壁の絡み合い菌組織からなる。
柄の皮層は径 4.5-6.0 μm. のほぼ無色の隔壁のある平行な菌糸からなり、表面からはまばらに毛状菌糸が斜めに立ち上がり、長さ 80 μm. 程度までになる。
立ち上がった菌糸の先端付近の細胞は膨らんで径 8-12 μm. の楕円形になって連なり Oidium 様になる。
襟状部の皮層は 14-42 × 7-17 μm. の楕円形の細胞が数個並んでやや房状になり、先端細胞はやや長い。
[コメント]
照葉樹林内、林道側溝に堆積した広葉樹の落葉に生じていた物。
柄の基部をたどることができた子実体は少なかったが、種類の判別できた落葉はツバキ (Camellia japonica)。
頭部が棍棒状で柄との境が襟状になる盤菌類はいくつかの属で知られている。
菌核から生じない、子嚢頂孔がアミロイド、襟状部の表面には膨らんだ細胞が並ぶ等の特徴は Heyderia 属が近いと思うけれども、
Heyderia 属は針葉樹の落葉に発生する種が多く、広葉樹生の種は見当たらない。
[別図2]
6月18日撮影。
子実体が発生しているツバキの落葉には径 2 cm. ほどになる不鮮明な帯線のようなものがあり、
その内側は落葉の表面に皺が少なく、僅かにツヤがあるように見える(画像では明瞭には判別できない)が、菌核は形成されない。
[参考文献]
Benkert (1983): Bemerkenswerte Ascomyceten der DDR. VI. Die weißsporigen Geoglossaceen. (Gleditschia ; 10, p. 141-171).
Kohn and Nagasawa (1984): The genus Scleromitrula (Sclerotiniaceae), Episclerotium gen. nov. (Leotiaceae) and allied stipitate-capitate species with reduced ectal excipula. (Trans. mycol. Soc. Japan ; 25. p. 127-148).
[初掲載日: 2017.10.20]