? sp. no.45

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よくわからない盤菌類。4月13日撮影。

[特徴]
朽木上に群生する。子嚢盤は肉厚のクッション形、径 1.5 mm. 程度まで、子実層面は凸形になり、ややざらついた感じで淡肉色。 外面は平滑、同色、ほとんど柄は無く、やや広く基質に固着する。肉質は軟らかい。-- 子嚢は棍棒形、薄壁、先端はやや肥厚して頂孔はメルツァー試薬で横にやや広く青変し、下半は細く伸びる。8胞子をほぼ2列に生じる。97-120 × 10-11.5 μm. -- 側糸は糸状、下半に隔壁があり、径 1.5 μm. 程度。先端はやや膨らんで 2-3 μm.、上半は細かい泡状の油球を含み、殆んど無色。-- 子嚢胞子は長円形ないし楕円形、無色、薄壁、平滑、大きな2油球が目立つ。射出された子嚢胞子には時に不明瞭な被膜が認められる。11.1-13.7 × 4.3-5.2 μm. -- 托組織髄層は無色薄壁の菌糸からなる絡み合い菌糸組織、外皮層はほぼ無色で球形、径 5-12 μm. 程度の細胞からなり、縁付近では矩形状になり、縁の細胞はやや棍棒状、6-10 × 3.0-4.5 μm.、細かい油球状の内容物がある。

[コメント]
コナラやアベマキが優先する雑木林内、流水に浸った柔らかく腐朽の進んだ倒木の濡れた材部に発生していたもの。倒木は広葉樹と思われるが樹種を確認できない。 アミロイドの子嚢、組織の特徴などから Phaeohelotium あたりだろうと思って調べていて、ピンク色を帯びる種 P. subcarneum (Schum.) Dennis にたどりついた。 Dennis (1981) にある特徴によく一致すると思ったが、判然としない。 P. subcarneum を図示している文献は比較的少なく、"Fungi of Switzerland" の図版 (no. 173) の菌は、Hymenoscyphus imberbis の疑いがあるとされる。 "Atlante fotografico degli ascomiceti d'Italia" の図版 (p. 215) の菌はピンク色を帯びていない。 Hengstmengel (2009) は P. subcarneum (Schum.) Dennis を P. carneum (Fr.:Fr.) Hengstm. のシノニムとしたが、 中国真菌志第56巻ではこの学名の菌を 「子实层表面新鲜时白色」と記述している。

[参考文献]
Dennis (1971): New or interesting British microfungi. (Kew bulletin ; 25, p. 335-374).
Dennis (1981): British Ascomycetes. Revised ed.
Ellis and Ellis (1997): Microfungi on land plants : an identification handbook. Enlarged ed.
Hengstmengel (2009): Notes on Hymenoscyphus 3: On the nomenclature of Hymenoscyphus subcarneus (Ascomycota, Helotiales). (Mycotaxon ; 107, p. 267-276).

[初掲載日: 2019.11.08] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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