? sp. no.57

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? sp. no.57
よくわからない盤菌類。7月17日撮影。

[特徴]
子実体は群生する。子嚢盤は肉厚の皿状でほぼ平開し、乳白色、古くなるとやや赤みを帯びる。径 1 mm. 程度まで。 縁は全縁、外面は平滑、基部付近は褐色を帯び、ルーペ下では褐色の微小な鱗片状にささくれて見える。柄は無く、やや広く基質に固着する。-- 子嚢は棍棒状、先端は肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変する。基部にはかぎ形構造がある。8胞子をほぼ2列に生じる。62-72 × 7.2-9.2 μm. -- 側糸は糸状、ほぼ上下同幅、隔壁があり、先端近くには少量の無色の油球がある。径 1.5-2 μm. -- 子嚢胞子は紡錘形、わずかに左右不対称、両端はやや丸く、無色、薄壁、平滑、中央に隔壁があり2細胞、隔壁部は括れる。それぞれに比較的大きな1個の油球と少量の小型の油球を含む。13.5-14.8 × 3.4-3.7 μm. -- 托組織は髄層と外皮層の区別は不明瞭で、径 5-9 μm. の丸みを帯びた無色の多角形の細胞からなり、縁部の細胞は細く伸びて棍棒状になり 15 × 3 μm. 程度。 最外層の細胞はやや厚膜でガラス様に見え、基部付近の表面細胞は褐色を帯び、わずかに立ち上がる。

[コメント]
ウラジロ (Diplopterygium glaucum) の腐朽した葉柄に発生していたもの。 群生する子実体の基部付近や周囲からは黒褐色の剛毛状の菌糸が立ち上がる。同一の菌のものかどうかわからないが、少なくとも子嚢殻など他の菌の存在を思わせるようなものは見当たらない。 剛毛は単生、直立し、黒褐色、厚膜、平滑、下半に隔壁が多く、長さ 200-400 μm. 程度、基部はやや膨らんで急に途切れたようになり、基部付近で径 4-7 μm.、先端は尖る。 少量の褐色厚膜の菌糸が表皮中に拡がっていて、剛毛はそこから立ち上がっているように見える。 また、剛毛の基部付近には、剛毛と同様でやや太く、先の切れたような短い筒状の構造があり、Chalara 属の分生子柄の様にも見えるが、分生子を確認できなかった。 Nag Rag and Kendrick (1975) は剛毛を有することで Chalara 属と区別された Chaetochalara 属に伴って生じるビョウタケ類として Calycellina carolinensis Nag Raj & Kendrick と Hyaloscypha cladii Nag Raj & Kendrick(現在は Phaeoscypha cladii (Nag Raj & Kendrick) Spooner とされている)が記載されているが、シダ生ではない。 Wu and Diao (2023) はズキンタケ綱で Chalara 様の不完全世代を生じるものとして26属を認め、Chaetochalara 属は狭義の Chalara 属と Nagrajchalara 属に分けられた。 関連する完全世代は複数あり、属を絞り込めない。

[参考文献]
Nag Raj and Kendrick (1975): A monograph of Chalara and allied genera. Wilfrid Laurier University Press.
Wu and Diao (2023): The chalara-like anamorphs of Leotiomycetes. (Fungal diversity ; 119, p. 213-490).

[初掲載日: 2024.11.19] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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