Vibrissea sp. no.1

Vibrissea sp. no.1

Vibrissea sp. no.1.
ピンタケ属菌。4月15日撮影。

[特徴]
子嚢盤は肉厚の浅皿形でやや楕円形。径 1.5-2.5 mm.、高さは 1 mm. 以下。 子実層は平滑、くすんだ淡黄色、時にやや橙色を帯びる。縁は黒褐色、僅かに盛り上がり不明瞭な裂片状になる。外面はややざらついた感じの黒褐色。 柄は無く、ほぼ下面全面で基質に固着する。-- 子嚢は長円筒形、薄壁、先端はやや尖って肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で点状に青変する。8胞子を束状に生じる。200-210 × 14-15.8 μm. -- 側糸は糸状、隔壁があり、径 2.5 μm. 内外。少なくとも上半では分岐しない。先端は紡錘形や棍棒形等に膨らんで径 5.0-7.8 μm. になり、一様な黄色の内容物を含む。-- 子嚢胞子は糸状、無色。射出されたものは緩やかに屈曲し、先端は丸く、末端はやや尖る。被膜は認められない。 細かい油球状の内容物がまばらにある。不明瞭な隔壁の様なものがあり詳細を確認できなかったが、分裂した子嚢胞子は認められなかった。170-200 × 2.0-2.4 μm. -- 子嚢盤組織はメルツァー試薬で青変しない。外皮層は径 6 μm. 程度までの黒褐色厚膜の多角形細胞からなる。

[コメント]
水辺のヨシ (Phragmites australis) の枯れた稈片に発生していた物。 Sánchez (1967) に拠れば、Phragmites communis(P. australis のシノニム)に生じる V. norvegica (Gremmen) Sánchez は 子実体が径 0.4 mm. まで、子嚢胞子は 100 μm. に達しないと言うから別種だろう。 同じく Phragmites 属から記録された V. pezizoides v. calamaria Velen. は詳細な特徴が不明だが、子実体の大きさや側糸の特徴は似ていると思う。

[参考文献]
Sánchez (1967): The sections Apostemidium and Microstemium of the genus Vibrissea (fungi). (Journal of Agr. of University of Puerto Rico ; 51(1), p. 79-93)
Velenovský (1934): Monographia discomycetum Bohemiae. 1-2.

[初掲載日: 2017.07.14]