Xylaria sp. no.1
Xylaria sp. no.1
広葉樹落葉に生じる小型のクロサイワイタケ類。8月12日撮影。
[特徴]
子実体は糸状、全体に黒色でつやは無く表面は平滑か、細かい縦皺がある。質は丈夫。高さ 2-6 cm. 径 1 mm. 程度。
普通は分岐しない。基部はやや太く、先端は次第に細くなり尖る。
初めは全体が灰色粉状の分生子に覆われ、先端は赤褐色を帯びる。内部は白い。
子嚢核は上半に埋没して群生し、その部分は若干太くなるが先端部分には細くて短い不稔部分がある。
子嚢核はほぼ球形で径 300-400 μm. 程度、孔口は僅かに突出する。
子嚢は円筒形、8胞子を一列に生じる。先端にはヨードで青変するキャップ状の構造がある。120-152 × 5.5-7.0 μm.
側糸は鞭状で無色。基部付近には隔壁があり径 8-9 μm. 先端は次第に細くなる。
子嚢胞子は紡錘形で左右不対称。黒褐色。未熟時には 1-2 油球が見える。
平らな側にほぼ全長に亘る直線状の発芽溝があり、両端には無色球形の付属物がある。12.2-14.9 × 4.8-5.7 μm.
地上の広葉樹落葉に群生するもの。
特に落葉の種類は限定されないようで、様々な落葉から発生している。
胞子両端の付属物はかなり目立ち、未熟な胞子では全体で鉄亜鈴形に見える。
肉眼的特徴や顕微鏡的特徴から、Xylaria filiformis (Alb. & Schw.: Fr.) Fr. だろうと思うが
手持ちの図鑑類には胞子両端の付属物について触れている物が無いので違うのかもしれない。
[参考文献]
Breitenbach and Kränzlin (1984): Fungi of Switzerland. vol. 1.