初期検印紙調査メモ [国立国会図書館デジタルコレクション]. 宮崎柳條編「通常金石小誌」(牧野善兵衞, 明治17年7月再版)

宮崎柳條の経歴の詳細は不明。明治初期に「西洋百工新書」などの技術工芸関係の著作がある。
「西洋百工新書」外篇 (1876) の序例に、自身について記している箇所があるので一部を抜粋引用する。
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僕曖昧の世寒家に生れ、不幸にして稟性羸弱なるが故に、身を匠家に委ぬ。...
深く格物の學を好み、造化の眞理に通ぜんことを欲ふ。...
然りと雖とも手工を專業と為を以て、晝間餘暇を得ず。
良師に就て教示を受るに由なく、燭を秉て夜に學び、信疑當否を各書に决す。...
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独学で博物学等を修めたが、必ずしも経済的には恵まれなかったようだ。
「明治前期産業発達史資料 勧業博覧会資料 128」 所収 「第三回内國勸業博覽會出品目錄 第一部工業 1」 (1891) には、
"擬革紙揉羊羹紙蒔繪付叺煙草入 裁縫師太田常右衛門、蒔繪師宮崎柳條"、
"擬革紙黒模様付一ツ提煙草入 裁縫師村上庄七、蒔繪師宮崎柳條" 等と名前が挙げられている。
上記引用にも "手工を專業" とある様に、蒔絵職人として生計を立てていたと思われる。

調査したのは「通常金石小誌」。国立国会図書館デジタルコレクション公開本。和装、一冊。
見返しは "明治十七年七月再刊 | 通常 金石小誌 | 牧野氏蔵版"。
奥付は以下の通り。
明治十六年五月十七日版權免許
同 十七年六月廿七日再版御届
同 年七月 再版
編者 東京府平民 宮崎柳條 芝區新櫻田町十九番地
出版人 東京府平民 牧野善兵衞 日本橋區通四町目七番地
検印紙は奥付上部に貼られている。
上辺に "明治十七秊"、下辺に "六月製版"、右辺に "牧野書房"、左辺に "眞版之標"、
四隅には鉱物の結晶塊のようなものが、中央には鳳凰、松、魚の泳ぐ池が描かれている。
割印は角印、判読できない。

翌年、校正版が出版されている。これも国立国会図書館デジタルコレクション公開本で確認した。和装、一冊。
見返しは "明治十八年二月校正再刊 | 通常 金石小誌 | 牧野氏蔵版"。
奥付は以下の通り。
明治十六年五月十七日版權免許
同 十八年一月十九日校正再版御届
同 十八年二月 校正再版
編者 東京府平民 宮崎柳條 芝區新櫻田町十九番地
出版人 東京府平民 牧野善兵衞 日本橋區通四町目七番地
検印紙は同様に奥付上部に貼られている。
こちらは画像がより鮮明なので、目打ちは無く、四隅に切断の目安になる十字があるのが確認できる。
上辺に "明治十八秊"、下辺に "弐月改版"、右辺に "牧野書房"、左辺に "眞版之標"、
四隅と中央の図は同じ。割印は角印、"牧野書房之証" だろうか。おそらく再版の割印と同じ。
上下辺の日付が改版に合わせて変更されている。この部分は差し替えができるように製版されていたのだろう。
なお、初版は明治17年1月に出版されているが、近代教科書デジタルアーカイブ公開本には検印紙は貼られていない。

アドレスは下記の通り。[最終閲覧確認日: 2026.01.20]
「通常金石小誌 再版」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/832084]
「通常金石小誌 校正再版」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/1911178 ログイン必要]
「通常金石小誌」. [近代教科書デジタルアーカイブ リンク先 https://nierlib.nier.go.jp//lib/database/KINDAI/EG00006046/900061314.pdf]

[2026.02.10 記]
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