初期検印紙調査メモ [国立国会図書館デジタルコレクション]. 「刑法令訓集」、「刑法令訓集 續編」(同盟印刷, 明治16年出版)
調査したのは 「刑法令訓集」、「刑法令訓集 續編」。国立国会図書館デジタルコレクション公開本。洋装、各1冊。
[正編] の標題紙は "冨岡門前警察署編纂 | 刑法令訓集 完 並附則 | 同盟印刷"。
奥付は無く、最終ページに "明治十六年五月二十八日出版々權届 | 禁發賣" とある。
同書は京都大学法学部図書室に3冊所蔵されているので、現物も確認することができた。
京大本は3冊とも標題紙に "冨岡門前警察署編纂" の表示は無く、同じ個所に "明治十六年二月編纂" と表示され、
最終頁の日付表記などは無い。なお、3冊中1冊は "並附則" の表記が無く、巻末の附則を欠いている。
検印紙は国会本、京大本とも同一、すべて標題紙裏の飾り枠内に貼られている。
30 × 30 mm、版面 28 × 27.5 mm、ルレットあり、平版に見える。
赤茶色単色、四辺に飾り枠、上部のリボンに "不許販賣"、下部のリボンに "同盟印刷"、
中央枠内に "有限" とあり、左右に花木が描かれている。花は右側はサクラ、左側はウメに見える。
割印は角印、不鮮明だが "香園" だろうか。
續編の標題紙は "冨岡門前警察署編纂 | 刑法令訓集 續編 | 明治十六年四月 同盟印刷"。
奥付は無く、巻末正誤表の前ページに "明治十六年五月二十八日出版々權届 | 禁發賣" とある。
續編も京都大学法学部図書室所蔵本を確認することができた。
京大本は標題紙は同一、巻末の日付表記などは無い。
検印紙は国会本、京大本とも緒言冒頭の飾り枠内に貼られている。
検印紙は色がやや暗色のあずき色である以外同一。ただし紙は滑らかで紙質は明らかに異なる。
割印は "同盟之章" の角印。
京大本で、3冊の正編と續編合わせて4枚の検印紙を実見できた。
詳しく比較してみると、花の形、影の付け方等がそれぞれ微妙に異なるので、原版は一枚づつ作成されたものだろう。
ただ、正編の1冊 (資料ID:200034293011) と、續編 (資料ID:200034293002) の検印紙は細部まで一致し、同じ原版に見える。
同盟印刷についてはよく判らない。
正編の緒言には "本編ハ謄寫ノ勞ヲ省カン爲メ同志相謀リ印刷セシ者ニテ
固ヨリ販賣ヲ爲スモノニアラズ故ニ同盟印刷ノ證ヲ貼付シ濫リニ散逸ナカラシメンヿヲ期ス" とあり、
續編の緒言にも "本編モ尚ホ謄寫ノ勞ヲ省カン爲メ廳員相謀リ印刷ニ付ス故ニ
同盟ノ證ヲ貼シ販賣ヲ禁シ且散逸ナカラシメンヿヲ期ス" と、ほぼ同じ内容の文言がある。
同盟印刷出版とされる明治16年12月編纂「現行治罪法質疑録」の緒言にある同趣旨の断り書きには、
"同盟印刷ノ印章ヲ捺シ" とあり、大きな "同盟印刷之章" 印が押されている。
明治17年11月の日付がある「治罪法訓令類纂」は、"司法部内同盟員編纂" とあり、"司法部内同盟員" の印が押されている。
実体のある団体組織ではないようにも思える。
冨岡門前警察署は現在の深川警察署に当たる。同署編、あるいは同署蔵版とされる出版物がいくつかある。
アドレスは下記の通り。[最終閲覧確認日: 2026.02.10]
「刑法令訓集」 [正編].
[国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/793939]
「刑法令訓集 續編」.
[国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/793940]
[2026.02.22 記]
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