調査したのは吉田義卿著「松隂詩集」。義卿は吉田松陰 (1830-1859) の字。和装本、上下巻2冊。
上巻見返しの表示は "吉田義卿著 全部二巻 | 松隂詩集 | 尊攘堂蔵版"
下巻奥付は以下の通り。
明治十六年三月廿四日 版權免許
同 年十一月刻成發兌
著者故人 吉田義卿
出版人 山口縣士族 吉田庫三 東京麴町區冨士見甼壹丁目一番地
製本賣捌人 亰都府平民 田中治兵衛 西京下亰區第五組寺町四条上ル三百六番地
大阪 北久太郎町四丁目 柳原喜兵衛
同 心齋橋南壹丁目 松村九兵衛
丁ウラにはさらに11人の書肆の名が続くが省略する。出版人の吉田庫三は、松陰の甥。
検印紙
は奥付上部に貼られている。33 × 32 mm.、版面 26 × 23 mm.、目打ちはない。
用紙は薄茶色、経年劣化ではなく暗色の繊維が漉き交ぜられているように見える。
印刷は暗緑色単色、飾り活字を使用したと思われる枠があり、中央に "吉田氏藏" とある。
"吉田" の縦長印が押され、別に割印があるが判読出来ない。
国会図書館デジタルコレクションで公開されている同書の上巻見返しには、
"尊攘堂蔵版" ではなく "明治十六年十一月刊行 文求堂蔵版" とある。
奥付を含めて他は同版、ただし証紙は貼られていない。
文求堂は、奥付の製本売捌人の先頭の人物、田中治兵衛の店である。
[2025.09.25 記]
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