堀越愛国 (1835-1921) は旧幕臣の英学者。蕃書調所、開成所などを経て文部省少教授。多くの訳書を著している。
調査したのは堀越愛國譯「近世西史綱紀」。和装、十巻10冊。
第一巻見返しの表記は "編輯權助堀越愛國譯 | 近世西史綱紀 | 明治四年辛未孟冬刊行"。表紙題箋には "官版" とある。
第十巻奥付は以下の通り。
官版御書籍發兌
東京日本橋通貳丁目 稻田佐兵衛
同 小石川大門町 青山清吉
同 神田通新石町 福田仙藏
証紙
は第一巻見返し左下部に貼られている。ほぼ方形、28 × 28 mm.、版面 25.5 × 25.5 mm.、目打があり、平版に見える。
青色単色、飾り枠があり、下部に洋装本2冊、インク壺、羽ペンが描かれ、"東亰師範學校之證" とある。割印は "東京師範學校版權 證" の丸印。
また、証紙下方には "東京師範學校藏版" の角印が押されている。
国会図書館デジタルコレクション公開本は見返し左下部に "文部省" とあり、証紙はない。
師範学校が東京師範学校に改称されたのは明治6年8月なので、それ以後、明治10年頃の後刷りだろうか。
明治12年2月に出版された「續西史綱紀」にも、同じ証紙が貼られている。
[2025.09.30 記]
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