内田老鶴圃は明治１３年創業、自然科学書の出版を主として現在も続く老舗出版社。
同社のサイト
に拠れば最初の出版物は "長三州著「老鶴万里の心」"。社名の由来だと思うが、所蔵図書館を確認できない。
調査したのは富士谷孝雄講述「中等教育 如氏地理教科書」。洋装、三巻３冊。複数の後刷があるようだ。
第一巻標題紙は "理学士 富士谷孝雄講述 | 中等教育 如氏地理教科書 | 東京 内田老鶴圃"。
奥付は以下の通り。
明治二十一年八月一五日 印刷
同 年九月一日 出版 定價金三拾五錢 卷之壹
講述理学士 東京府士族 富士谷孝雄 牛込區新小川町三丁目十七番地
発行者 同 平民 内田芳兵衛 日本橋區大傳馬町二丁目六番地
印刷人 藏田仙之助 京橋區元数寄屋町四丁目二番地
上部に枠に囲まれた "版權所有" の表示があり、
検印紙
はその左に貼られている。
32 × 37.5 mm.、版面 28 × 34 mm. 目打あり、平版に見える。茶色単色。鷲の絵と、"内田老鶴圃証" のリボンが描かれている。
割印は "内田檢閲章" の丸印。
なお、内田老鶴圃は明治１７年頃には別の証紙を使っていたことが、国会図書館デジタルコレクション公開本で確認できる。
明治１７年４月出版の「新撰小學博物教授本 第一巻 動物部」 の見返し右下に、検印紙が貼られている。
地球儀、帙入り和本、木が活けられた花瓶などが描かれ、上部に "老鶴圃之證" とある。割印は楕円印。
この、地球儀と本のデザインを採用している検印紙は複数の出版社で見られる。
「新撰小學博物教授本 第一巻 動物部」.
[国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/832200 ログイン必要]
[2025.10.30 記]
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