松尾貞次郎は明治時代の教育者。東京師範学校報告第7学年掲載の名簿によれば "長崎県平民"、明治12年2月に東京師範学校中学師範学科を卒業している。
師範学校の校長等を歴任し、兵庫県御影師範学校長だった明治36年、学校教科書採用をめぐる贈収賄事件(教科書疑獄事件)で有罪になり失官している。
明治40年頃の複数の人名録に、長崎県の醤油醸造業として同名の人物が掲載されているが、同一人物かどうか不明。
彼の著作「道義原論」の奥付に検印紙が貼付されている。
「道義原論」の標題紙は飾り枠の中に "松尾貞次郎譯述 | 道義原論 全 | 東亰 金港堂書籍株式會社" の表示がある。奥付は以下のとおり。
明治三十年八月二十日印刷 道義原論(定價金八十錢)
仝 年八月廿五日發行
譯述者 松尾貞次郎
發行兼印刷者 金港堂書籍株式會社 東京市日本橋區本町三丁目十七番地
代表者 右社長 原亮三郎 東京市下谷區龍泉寺町四百十番地
賣捌所 各府縣特約販賣所
印刷所 株式會社 秀英舎 東京市京橋區西紺屋町廿六七番地
上部に飾り枠があり、その中に "版權所有"。その左側の空いた部分に
検印紙
が貼られている。
検印紙は 26 × 31 mm.、版面 23.5 × 29.5 mm.、目打は無し、四隅に裁断の目安線がある。凹版の様に見える。
全体が細かな枝葉模様で、二重の楕円枠中に上下右左の順で "松尾印證"、中央に "M" の飾り文字がある。
下辺に楕円の割印があるが、判読できない。この検印紙と割印は
魯氏教育哲学 / 松尾貞次郎譯解. 普及舎, 明治24年7月4日出版. [發行者 辻敬之 / 印刷者 沼尻爲作 / 發兌所 普及舎]、
教育哲學史 / 松尾貞次郎編述. 普及舎, 明治26年8月11日出版. [印刷者兼發行者 辻太 / 印刷所兼發行所 普及舎]
にも同じ形式で貼付されているのが国会図書館デジタルコレクションで確認できる。
[2025.06.09 記]
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