田中鼎は新潟県の教育者。経歴の詳細を確認できないが、新潟の小学校教員の指導的立場にいたようで、
(藤坂由美子, 2020. 東京女子体育大学・東京女子体育短期大学紀要 ; 55, p. 29-36 参照)
「明治19年現在職員録」で県立新潟医学校、「明治22年現在職員録」で新潟県尋常師範学校の助教諭として名前がある。
調査したのは国立国会図書館デジタルコレクション公開本「小學作文的例」 三刻。和装。
公開されているのは巻一から三の3冊だが、初刻は五巻5冊本なので、三刻も五巻5冊本だと思う。
第一巻見返しは "田中鼎編纂 佐々木狂介校閲 内田嘉一書 | 小學作文的例 | 明治十三年二月新鐫 越後長岡松風堂蔵"。
奥付は以下の通り。
明治一二年六月十日版權免許
同十三年四月十一日刻成 定價八銭
同十五年七月十日再版御届
同十六年九月 三刻御届
編纂人 新潟縣平民 田中鼎 同縣越後國新潟區寄居仲通第六百九十五番地
出版人 同縣平民 松田周平 同縣同國古志郡長岡呉服町第百三十五番地
第二、三巻も価格以外は同じ。検印紙は各冊の奥付上部に貼られている。
目打ち無し、四隅に "日本帝國"、丸枠内側の上下右左に "越後長岡"、中央に "松田氏檢証" とあり、
枠外上下に "明治十六年以後" "製本以此印紙爲証" とある。割印は "長岡 松田 藏版証" の楕円印。
松田周平については経歴の詳細を確認できない。
検印紙に表示されている通り、明治十六年に使用され始めたはずだが、確認できた一番早い使用例は、
近代教科書デジタルアーカイブ公開本の "明治十六年七月十七日分版御届" の表示がある「小學國史紀事本末」。
各資料のアドレスは下記の通り。[最終閲覧確認日: 2025.11.20]
「小學作文的例」 三刻 巻一.
[国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/11619127 ログイン必要]
「小學國史紀事本末」 上巻.
[近代教科書デジタルアーカイブ リンク先 https://nieropac.nier.go.jp/lib/database/KINDAI/EG00001200/900023481.pdf]
[2025.12.10 記]
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