同じ証紙を異なる出版社が使っている例(2)既製品?の証紙
異なる出版社の検印証紙のデザインが全く同じ場合がある。おそらく既製品の証紙だろう。
小さな出版社では、オリジナルな証紙を作るよりは手軽で安価だったのだと思う。
[1] この証紙はかなり多くの出版社で使われている。
こんな特殊な商品が戦争をはさんで30年に亘ってほぼ同じデザインで流通していたというのは驚きだ。
1942 年頃以降の物は、左縦枠の右下角部分や右縦枠の左上角部分などにわずかな違いが見られるが基本は同一である。
また、1950 年頃に枠上下の縞模様の密度が変わっている。
実見した最古の使用例は1934年、最新の使用例は
1966年(厚文社)
のもの。
武富時敬刊行會(1934). -- 學而書院(1935). -- 東京名墓顕彰会(1940). -- 福村書店(1941). -- 大日本映畫協會(1941) より。
国本出版社(1935). -- 海島書房(1935). -- 芝書店(1936). -- 法錚閣(1936). -- 獨立堂書房(1936). より。
冨士書房(1939). -- 日本放送出版協會(1940). -- 白帝社(1941). -- 海洋文化社(1941). -- 帝國産業出版社(1942). より。
伊藤文信堂(1943). -- 日本外政協會(1943). -- 愛国新聞社(1943). -- 土木技術社(1943). -- 精神文化学会(1944). より。
明世堂書店(1948). -- 日文社(1956). -- 謙光社(1964) より。
このデザインの証紙には別の色の版もある。緑色のもの。
邦光書房 (1953). -- 農民教育協会(1953). 厚文社(1954). -- 日刊労働通信社(1956). -- 森江書店(1956). より。
自由アジア社(1956). -- 新人社(1957). -- 謙光社(1965) より。
青色のもの。
農民教育協会(1954). -- 淡路書房(1956). -- 謙光社(1964) より。
[2] 王冠とローブ。これも使用例が多い。ローブの正面の部分が左前のものと、右前のものがある。色も多種類ある。
産業組合新聞社(1939). -- 昭森社(1941). 四海書房(1941). -- 佛教公論社(1942). -- 昭森社(1942) より。
昭森社(1943). -- 明世堂書店(1943). -- 同(1943). -- 先生書店(1943). -- 西東社(1943) より。
文松堂(1943). -- 二松堂(1943). -- 昭和刊行會(1944) より。
[3] 飾り枠に菱型。
八元社(1931). -- 武蔵野書院(1932). -- 東治書院(1933). -- 日東書院(1934). -- 斗南書院(1935). より。
筑波書店(1936). -- 昭和書房(1936). -- 大日社(1938). -- 東京武蔵野書院(1938). -- 羽田書店(1939) より。
西ヶ原刊行會(1939). -- 映畫評論社(1937) より。
[4] 方形枠に曲線模様。
磯部甲陽堂(1944). -- 邦光堂書店(1944) より。
[5] 外方内円の飾り枠。
冨山房(1931). -- 千葉方言刊行會(1934) より。
[6] 外方内円の飾り枠。
法文館(1930). -- 山城屋藤井佐兵衞(1931). -- 山崎寶文堂(1636) より。最初の二つの出版物は印刷者が同じである。
[7] シクラメン。色以外にも、背景の石垣状模様も微妙に異なっている。
警醒社書店(1923). -- 生活文化山研究會(1926) より。