森鴎外と森潤三郎の検印
森鴎外(本名林太郎)と、彼の末弟である森潤三郎の検印の例を示す。
(左) 森鴎外著「審美新説」春陽堂, 1910. より。 (右) 森潤三郎著「紅葉山文庫と書物奉行」昭和書房, 1933. より。
鴎外の印はアルファベットを、潤三郎の印は名前の潤をデザインしたものだ。
だが 1904 年に春陽堂から出版された二人の著作に捺された検印はこれとは別の印で、しかも互いに大変似ている。
直径も共に 14 mm. で同じで、印影を重ね合わせるとほぼ一致する。
鴎外の印は左側に2ヶ所欠けている所があり、まったく同一とは言えないが同じ印の可能性がある。
「朝鮮年報」は1月、「黄禍論梗概」は5月に出版されているのでその間に印が欠けたとも考えられる。
(左) 森鴎外著「黄禍論梗概」より。 (右) 森潤三郎著「朝鮮年報」より。