キノコ盛りの庇

一昨年、家の近くに歯医者が開業した。
幸い私は虫歯が無いし、昨年親知らずが痛くなった時は休診日だったので別の医院で抜いてもらったりで
まだお世話になった事はないのだが毎日前を通っている。

昨年の今時分だったろう、遠目で庇のあたりがなんだか汚れてる様な気がするなあ、と思って近寄ってみるとスエヒロタケが生えていた。
庇の表面は一見モルタル風の仕上げだが、木材を組んだ板張りの表面を塗装仕上げした事は改装している時に見て知っていた。
スエヒロタケは垣根の杭や公園のベンチなどに生えているのを見た事もあるので、「あ~、やられたなあ。」と思った程度で特に気にしなかった。
ところが庇の角の塗料がなにやら変に盛り上がってきたと思ったら、雨上がりの朝キクラゲ(アラゲキクラゲ)がぞっくり生えていた。
こんなところにキクラゲが生えたのは見たこと無かったのでちょっと驚き、それから毎日見上げては大きくなるキクラゲを楽しんでいたのだが、
何日かしたら改装業者がやってきて直してしまった。生えていたスエヒロタケとキクラゲはきれいに削り取られ、塗料も塗り直された。
こんなのが自分の家に生えてきたら見栄えも悪いし誰だって取り除くだろう。
ちょっと残念だったけれど、きれいになった庇を見て中の木材はどんな風になってたのかな、等と思っていた。

そして今年、春頃から庇の角がまた怪しく膨らみ始めた。雨が降るたびに少しづつ大きくなってくる。
「出るぞ出るぞ」と思ってみていたが、梅雨に入ってついに大きなアラゲキクラゲが発生した。スエヒロタケも生えてきた。
さらにはヒトヨタケの仲間も顔をだした。(コキララタケだろうか)
ヒトヨタケ類は普通は朽木とか地面に発生したのをしゃがみこんで見る事が多くて、こんな風に見上げるのは初めてだ。
別の角にはいかにもサルノコシカケ類、という白い塊も膨らみ、だんだん傘ができてきた。
この調子で行くと、もしかしたら私の好きなチャワンタケの仲間も生えてくるかもしれない。 期待半分、不安半分である。
本当に生えたらどうしよう。しかも珍菌だったりしたら... 脚立を担いで訪ね、「すみませんがお宅のチャワンタケを取らせてください」と頼む事になるのか?
さすがに恥ずかしくて言えそうにない。

Hitoyotake Hypoxylon
コキララタケ(左)とスエヒロタケ(右)。コキララタケは割れ目から出ているが、スエヒロタケは塗装を貫通して生えているように見える。

Hypoxylon
アラゲキクラゲ。

Hypoxylon Hypoxylon
アラゲキクラゲと、その間から出たコキララタケ(左)。正体不明のサルノコシカケ類(右)。

(2008.06.25 記)

Hypoxylon

今年は梅雨に入ってもなかなか雨が降らなくてキクラゲの成長もいまひとつでしたが、雨上がりに粘菌が生えました。マメホコリの仲間だと思う。
(2009.07.03 追記)