Aleurina sp. no.1

Aleurina sp. no.1

Aleurina sp. no.1
アレウリナ属菌。5月5日撮影。

[特徴]
朽木上に散生する。子嚢盤は肉厚の皿状、径 1.5-3 cm.、ほぼ平らに開き、中央はヘソ状にくぼむものが多い。 子実層面はほぼ平滑、黄褐色からオリーブ褐色、縁は全縁、小さく盛り上がって内屈する。外面もほぼ同色でほとんど平滑、濃色の微粒状鱗片が散在し、縁部では顕著。 殆んど無柄あるいは太く短い柄があり、基部付近には白色の綿状の菌糸が僅かに薄く拡がる。組織は全体にやや丈夫な肉質で淡黄色、変色性は無い。-- 子嚢は円筒形、薄壁、先端はやや平らになり、有蓋、メルツァー試薬で呈色しないが、未熟な子嚢の内容物は赤褐色(偽アミロイド)になる。8胞子を一列に生じる。285-325 × 13.5-14.3 μm. -- 側糸は糸状、隔壁があり、少なくとも上半では分岐しない。径 3-4 μm.、先端細胞は緩やかに曲がり、淡黄褐色の油球状の内容物がある。-- 子嚢胞子は楕円形、薄壁、粗面、未熟時には小さな2油球があり、殆んど無色、後には僅かに黄褐色を帯び、油球は不明瞭になる。 表面の疣状突起は半円形ないし不正瘤状、コットンブルーによく染まり、高さ、幅ともに 0.5-1.0 μm. 程度、胞子の両端付近ではやや大きく密に分布する。 隣接した疣は時に連絡するが、網目状にはならない。15.1-17.7 × 8.8-10.0 μm. -- 托組織髄層は径 9 μm. 程度までになる淡黄褐色の菌糸からなる絡み合い菌糸組織で、所々に径 50-80 μm. までの球形ないし楕円形の細胞が混じり、外皮層との境はやや不明瞭。 外皮層は丸みを帯びた淡黄褐色の多角形の細胞からなり、髄層との境界付近では径 65 μm. 程度、表面近くでは径 15 μm. 程度。表面では所々で濃色の細胞が房状に集まって盛り上がる。

[コメント]
腐朽が進んでフレーク状になった倒木(おそらくアベマキ)の材部に少数が散生していたもの。全体がやや丈夫な肉質で少し弾力がある。 ピロネマキン科、Aleurina 属の特徴にほぼ当てはまると思うが、Zhuang and Korf (1986) のモノグラフや、その後記載された種には合致するものが見当たらない。 国内ではオリーブサラタケ (Aleurina imaii) の他に長尾 (2000) によって未同定の Aleurina 属菌が報告されている。 朽木生で子嚢胞子は比較的細かな疣状(報文中では「平滑」と書かれているが、図は明瞭な疣が描かれている)の菌だが、子嚢盤は径 1 cm. までで赤褐色とあり、 肉眼的特徴もかなり異なるので別種だろう。

[参考文献]
Zhuang and Korf (1986): A monograph of the genus Aleurina Massee (= Jafneadelphus Rifai). (Mycotaxon ; 26, p. 361-400).
長尾 (2000): 吹上御苑産チャワンタケ綱(子嚢菌門). (国立科学博物館専報 ; 34, p. 247-265).

[初掲載日: 2019.12.13] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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