Peziza sp. no.13
Peziza sp. no.13
地上生中型のチャワンタケ。7月1日撮影。
[特徴]
子嚢盤は椀形からやや深い皿形になる。直径 15-30 mm. 子実層面は淡茶褐色、ややベージュ色を帯び古い子実体では部分的に黒くなる。
縁は全縁で外面はやや淡色で黄色味をおび、小さな糠状の鱗片が少しある。柄はほとんど無い。肉は薄く乳液などは見られない。
子嚢は円筒形、先端はメルツァー液で青変する。220-250 × 13.6-15.2 μm.、8胞子を一列に生じる。
側糸は糸状、隔壁がある。径 5-6 μm.、先端はわずかに膨らんで 7-8 μm. になり淡黄褐色の油球状の内容物がある。
子嚢胞子は楕円形、初めは2油球を含み無色だが成熟するとやや黄褐色になり内容物は不明瞭になる。13.4-14.3 × 8.0-8.6 μm.、
表面にはコットンブルーに染まるやや縦長の大きく短い脈状の疣がある。普通は互いに独立しているが時に繋がって不完全な網目状になる事もある。
疣は高さ 1.5 μm. までになる。
托髄層は直径 30 μm. 程度の無色球形ないし太ソーセージ形、ひょうたん形などの細胞からなるが、中央付近にやや平行に走る菌糸層があり
(厚さ 100-150 μm.)明瞭な層構造が認められる。この菌糸層の細胞は黄色い内容物を含む。
托外被層はやや角ばった球形細胞からなるが髄層との境界は不明瞭である。
[コメント]
シイ、カシ林内の地上に散生していたもの。
時に不完全な網目状になる褐色の子嚢胞子は Peziza rifaii に近い種類だろうとした Peziza sp. no.3 と良く似ているし発生環境も似ている。
だが肉眼的特徴が違う上に、托組織の構造が異なるので別種だと思う。
Peziza sp. no.3 の組織には層構造が認められなかった。P. rifaii も托組織が層構造にはならないようだ。
[参考文献]
Nagao and Fukiharu (2000): Enumeration of the genus Peziza in Japan: Peziza limnaea and Peziza rifaii. (Mycoscience ; 41. p. 269-273)
Rifai (1968): The Australasian Pezizales in the herbarium of the Royal Botanic Gardens Kew. (Verhandlungen der Koninklijke Nederlandse Akademie van Wetenschappen. Afd. Natuurkunde ; 56(3).)