Rhytisma sp. no.2
Rhytisma sp. no.2
リティスマ属菌。4月7日撮影。
[特徴]
子座は夏から秋にかけて、カエデの葉表面に黒色のかさぶた状斑点となって発達し、直径 1-2.5 mm. 程度の類円形、表面はほぼ平滑、僅かに盛り上がり、普通は融合しない。
子座周辺の葉は黄色く退色する。越冬後、地上の落葉上で成熟し子嚢盤を形成する。
成熟した子嚢盤は湿ると黒い殻皮が不規則に裂開、反転してめくれあがり、子実層が現れる。子実層面は半透明乳白色。--
子嚢は棍棒形で下半は細長く伸びる。先端は殆んど肥厚せず、頂孔はメルツァー試薬に呈色しない。8胞子を不規則な2列に生じる。110-157 × 8.0-10.9 μm. --
明瞭な側糸を観察できなかったが、子実層の周辺部では鞭状の細胞が子実下層から立ち上がる。長さ 50-60 μm.、基部付近で径 2.0-2.3 μm. --
子嚢胞子は長楕円形、無色、薄壁、平滑、少量の油球状の内容物があり、顕著な被膜は認められない。14.0-20.0 × 3.1-3.8 μm.。子嚢胞子は一端から発芽して、発芽管を伸ばす。--
子実下層は無色。
[コメント]
イロハモミジ (Acer palmatum) 等のカエデ類に発生する。京都では市街地でもかなり普通に見られる。
Rhytisma 属菌には間違いないと思うが、正体がよく判らない。子嚢が成熟するのは京都では4月初旬から中旬頃。
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Wang et al. (2023) によっていくつかのリティスマ類が新種記載され、その中には私が採集、送付した標本に基づく
Rhytisma japonicum もある。
本種の標本も同時に送付したのだが未熟だったようで、上記論文中では "Rhytisma sp.1" とされている。[2024.06.20 追記]
[別図2]
12月2日撮影。 越冬前の落葉上の子座。
[別図3]
4月1日撮影。 上記の落葉を屋外で越冬させたもの。湿室に入れる前の状態。
[別図4]
4月17日撮影。 Wang et al. (2023) が "Rhytisma sp.1" とした標本と同日同所で採集したもの。
[参考文献]
Wang et al. (2023): Phylogeny and taxonomy of Rhytisma-like species worldwide. (Fungal diversity ; 120, p. 77-119).
[初掲載日: 2018.05.11, 最終更新日: 2024.06.21] //
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