Trichopezizella sp. no.1

Trichopezizella sp. no.1

Trichopezizella sp. no.1
アラゲヒナノチャワンタケ属菌。5月25日撮影。

[特徴]
枯茎上に散生する。子嚢盤は初め椀形、後ほぼ平らに開くビョウ型、直径 1.2 mm. まで、子実層面は乳白色。縁は全縁、やや内屈し、褐色の剛毛に被われる。 外面は全体に褐色の剛毛がやや密に生じる。柄は中心生でやや太い。-- 子嚢は円筒形、先端はやや円錐状で肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変する。基部にはかぎ形構造がある。8胞子をほぼ2列に生じる。71-80 × 5.7-6.6 μm. -- 側糸は太槍状、基部に隔壁があり、先端は子実層より 30 μm. 程度まで突出する。最大径 5.1-6.3 μm.、時に先端付近にわずかに無色泡状の内容物がある。-- 子嚢胞子は長楕円形ないし紡錘形、無色、薄壁、平滑、両端に少量の油球状内容物がある。10.8-15.7 × 1.5-2.2 μm. -- 托組織髄層は無色、薄壁、径 2.5 μm. 程度の菌糸からなる絡み合い菌糸組織、外皮層は厚さ 20-30 μm. 程度、やや厚膜で径 5-9 μm. 程度の丸みを帯びた細胞からなり、 時に最外層から 7-11 × 4-5 μm. の短い棍棒状の細胞が伸びる。 剛毛は外皮層の深部あたりから生じ、直線状、褐色、厚膜、平滑、隔壁があり、先端の1-2細胞はやや薄壁で淡色あるいはほとんど無色、先端は丸い、あるいはやや紡錘形に膨らむ。 基部は根状に細くなってやや淡色。140-220 × 4.2-6.6 μm.

[コメント]
落葉樹林内の枯茎に生じたもの。枯茎には先端の尖った袋果の欠片が少数残っていた。キンポウゲ科、おそらくトリカブト類だと思う。 Trichopezizella otanii に比べて子嚢胞子が明らかに長い。トリカブト属 (Aconitum) には Trichopezizella nidulus 等が発生するが、特徴が一致しない。

[別図2] 5月25日撮影。側面。明瞭な柄がある。

[参考文献]
Haines (1974): Notes on the genus Trichopezizella with descriptions on new taxa. (Mycologia ; 66(2), p. 213-241).

[初掲載日: 2023.11.30] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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