チャワンタケ (Cup-fungi) とは盤菌類 (Discomycetes) とも呼ばれる菌類の一群です。
子実体(キノコ)はその名の通り茶碗形や皿形をしたものが多く、その内面に胞子を形成する子嚢と呼ばれる細胞が並んでいます。
しかしキノコの形態は、典型的な茶碗形以外にも鞍形、棍棒形、さらにはトリュフのような塊形のようなものまで多様です。
比較的小型のため目に留まりにくい種類が多いのですが、その造形は担子菌類よりも美しいと思います。
主に私のホームグラウンドである京都市内で採集した盤菌類について、写真と説明をつけて掲載します。
写真は明記したもの以外はすべて私自身が撮影したもので、計測値等も自身の観察結果に基づいています。
専門家ではありませんし名前を調べる(同定する)事を第一には考えていませんので、学名は自信の無いものが多いです。
(と言っていい加減に付けているつもりはありませんが)間違い等お気付きの点があれば御連絡くだされば幸いです。
複数の写真を掲載している種がありますが、別種を同一種とみなしているものがあるかもしれません。
従来「子実体の表面の子実層に子嚢が裸出して並ぶ菌類」を盤菌綱としてまとめ、
子嚢の先端が蓋状に開く種類(チャワンタケ類)と蓋が無く頂孔がある種類(ビョウタケ類)に大別されていました。
現在ではその中には系統的に離れた種群もあることが判明し、高位分類群としての Discomycetes(盤菌綱)は使われなくなりましたが、
従来盤菌類とされてきた種(Helotiales, Leotiales, Phacidiales, Rhytismatales, Orbiliales, Pezizales 等)を中心に取り上げます。
ただし盤菌類のなかで大きな位置を占める地衣類については全く知識が無いので取り上げるつもりはありません。
その他、チャワンタケ以外にも肉眼的な子実体を作る子嚢菌類や不完全菌類も取り上げます。
最近の遺伝子解析によると、ウドンコキン類は Leotiomycetes(いわゆる無蓋子嚢の盤菌類を中心とする菌群)に位置するようです。
子嚢殻が閉鎖型で、古くは不整子嚢菌類ともされ、学生時代には核菌類だと習ったので意外です。
雑草などの葉面に拡がる白い菌叢や、その中に散らばる黒点状の子嚢殻を見ても、これがビョウタケ類に近いとはなかなか信じがたいのですが、
邦産のモノグラフも幾つかあり、寄主さえ判れば同定できるものが多いと思うので、積極的に取り上げようと思います。
サイトの基本的なポリシーは「担子菌類は掲載しない」です。実は担子菌類があまり好きではなく、種類もよく知りません。
接合菌類やいわゆる鞭毛菌類の仲間も好きでしたが、今は興味の対象から外れているので、よほど目を引いたもの以外は掲載しないことにします。
--- [ 凡例 ] ---
おおよそ、以下の順でデータを記述します。出来るだけ最新の情報に追加修正する努力はするつもりです。(たぶん後回しになるでしょう。)
順次体裁を揃えていますが初期に掲載した種類はこの形式と違っているものが残っています。
また、一部用語の統一が取れていません。これも気が付いたものから整えていきます。(これも後回しになるでしょうね。)
・ 学名及び和名: 一応学名を書いていますが間違っているかも知れません。また、最新の学名ではない場合があります。
基本的にシノニムは記していませんが、従来の日本の図鑑類と異なる学名を採用している場合等、等号の後に表示しているものがあります。
和名がわかる種は付記しています。図鑑類に和名が見当たらないものは学名をカタカナ表記します。
種の和名が無いが属名はあるもの、属までしか同定できないものは、○○○属菌、などと表記します。
学名のカタカナ表記(読み方)については決定的なものが無く、慣用読みの外にもいくつかの意見が提案されていますが、
原則として日本植物分類学会の申合せ (1953) に拠ります。ただし、di をジ→ディ、tu をツ→トゥ、vi をビ→ヴィ等、一部自己流に変えています。
著者をつなぐ接続詞の扱いについては
こちらをご覧ください。
・ 撮影データ: 掲載画像の撮影日を書いています。場所は敢えて書いていませんがほとんどが京都市内です。
・ 特徴: 肉眼的特徴、顕微鏡的特徴(子嚢、側糸、子嚢胞子、托組織、その他)を記述しています。
・ コメント: 発生環境、採集時に気付いた事、疑問点などです。
・ 別図: 初掲載以後に撮影したものを適宜追加していきます。
・ 参考文献: 同定に際して実際に参照した文献のうち、重要と思われるものです。
・ 掲載日: 初掲載日と最終更新日です。初掲載日の表示が無い種は主に2005年4月以前から掲載していたものです。