金松堂の出版物の奥付にある数字

大石高德意譯 「人情小説 花情粹話」 を調べた際、奥付に5桁の数字が印刷されているのに気が付いた。
少し気になったので金松堂が発行した他の本を調べてみた。
現物や国会図書館デジタルコレクションなどで同様の数字を確認できたのは以下の6点。版権免許取得順に挙げる。
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[A] "15704" 「歐米大家教育格言」 / 渡邊嘉重纂譯. 金松堂 : 柳旦堂, 明治19年10月16日版權免許, 同20年1月1日出版。
[B] "16028" 「奇遇魯国美談」 / 大石高德纂譯. 金松堂, 明治19年12月18日版權免許, 仝20年2月出版。
[C] "16179" 「蒙里西物語」 / 大石高德纂譯. 金松堂, 明治20年1月24日版權免許, 同年4月上旬出版。
[D] "16732" 「花情粹話」 / 大石高徳纂譯. 金松堂, 明治20年4月18日版權免許, 仝年6月出版。
[E] "16835" 「世界列國乃行く末」 / 高安龜次郎著. 金松堂, 明治20年4月28日版權免許, 仝年6月下旬出版。
[F] "1697" 「今の譽黑旗軍記」 / 谷口政德編述. 金松堂, 明治20年5月6日版權免許, 仝年6月下旬出版。
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全てに検印紙が貼られ押印されている。[A] は画像では確認できないが、同じ検印紙と思われる。割印は全て同じ丸印が確認できる。
また、[A] 以外は検印紙を貼る部分に枠が印刷されていて、数字はその下に印刷されている。
[B] については現物、国会図書館公開本、国書データベース公開本(函館市中央図書館所蔵本と立命館大学図書館所蔵本)を確認できた。
4点とも同一番号、印刷位置も完全に重なるので後から刷られたものではないし、一冊ごとの個別番号でもない。

数字は [F] を除いて版権免許取得順になっている。[F] は数字が一つ抜けているのだろう。
順番を考えると、"16897"、"169x7"、"1697x" 等が当てはまる。
金松堂の出版物に明治20年前半に限って現れるこの数字は、出版条例に基づく版権免許之証の番号だとわかった。
官報、出版書目月報、国立公文書館デジタルアーカイブなどを調べてみたが、ネット上で網羅的に調べるツールは無いようだ。
国会図書館デジタルコレクションで個別に確認できた明治20年前後の出版物の番号の例を挙げる。
どちらも内務大臣が発行した版権免許之証が画像で確認できる。
"15879" 星亨 「各國國會要覽」 明治19年11月25日 (info:ndljp/pid/13025134)
"17599" 井沢道盛 「通俗歯之出齦期圖解」 明治20年8月20日 (info:ndljp/pid/1873627)
金松堂の奥付にある数字の時系列に当てはまるので間違いないだろう。
版権免許之証の番号を表示することで版権の所在を明らかにする目的だったのだと思う。

アドレスは下記の通り。[最終閲覧確認日: 2026.02.28]
「歐米大家教育格言」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/808400]
「奇遇魯国美談」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/896792]
「蒙里西物語」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/876671]
「花情粹話」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/896763]
「世界列國乃行く末」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/904553]
「今の譽黑旗軍記」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/885440]

[2026.03.15 記]
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