初期検印紙調査メモ [国立国会図書館デジタルコレクション]. 杉浦忠昌,濵岡善次編輯「小斈幾何新編」(井筒駒吉・目黒十郎, 明治16年11月版權免許)

杉浦忠昌と濵岡善次は共に数学教師。
杉浦は新潟県師範学校、日本精華高等女学校等の職員録に、
濵岡は宮城県師範学校、高等下高井学校等の職員録に名が見える。

確認したのは杉浦忠昌,濵岡善次編輯「小斈幾何新編」。国立国会図書館デジタルコレクション公開本。活版洋装、二巻1冊。
目次では第三巻までの内容が記されているが、公開本は第二巻までが1冊に製本されている。
標題紙は "伊藤貞勝閲 杉浦忠昌 濵岡善次編輯 | 小斈 幾何新編 | 版權所有 巢枝堂 精勤堂藏版"。
奥付は以下の通り。
明治十六年十月廿二日版權御願
同 年十一月十三日版權免許
編輯人 靜岡縣士族 杉浦忠昌 新潟縣西蒲原郡西鳥屋野嶋新田七十五番地寄留
同 新潟縣士族 濵岡善次 同縣新潟區東仲通壹番地
出版人 同縣平民 井筒駒吉 同縣同區古町通二番丁三十三番地
同 同目黒十郎 同県古志郡長岡四ノ丁十九番地
裏ページには賣捌書誌が列記されているが省略する。
検印紙は奥付左上に貼られている。
右隅上下に "井筒"、左隅上下に "目黒"、唐草模様に囲まれた中央の丸枠内に "藏版之証"、
下辺に小さく "東京北辰堂●印" とある。割印は丸印、おそらく "目黒"。
銘の不明文字は潰れて読めないが、金へんに見えるので "銅" かあるいは "鐫" だろうか。

井筒駒吉の経歴の詳細を調べられなかったが、精勤堂の主人と思われる。
「新潟古老雑記」 (1933) には当時82歳の井筒の回想談が掲載されている。(「新潟の女」, 1968 に拠る)
目黒十郎は巣枝堂主人。代々目黒十郎を襲名する。(目黒と北辰堂については、こちら も参照)
検印紙は井筒、目黒両者による出版物のために作成されたものだろう。このような例は他には見ない。
両氏の出版による下記の奥付にも同じ検印紙が貼られているのが確認できる。
「小學作法教授書」(四巻4冊、明治17年1月25日版權免許)の第四巻、(国会図書館デジタルコレクション)
「改正 小學作法書」(四巻4冊、明治18年1月10日改正御届)の全巻。(近代教科書デジタルアーカイブ)
共に割印は "巽" の菱形印。

各資料アドレスは下記の通り。[最終閲覧確認日: 2026.01.10]
「小斈幾何新編」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/828675]
「小学作法教授書」 第四巻. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/811227]
「改正 小学作法書」 第一巻. [近代教科書デジタルアーカイブ リンク先 https://nierlib.nier.go.jp//lib/database/KINDAI/EG00003094/900019141.pdf]

[2026.01.20 記]
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