初期検印紙調査メモ [国立国会図書館デジタルコレクション]. 菊池大麓編述「論理略説」(同盟舎, 明治15年12月出版)

菊池大麓 (1855-1917) は、数学者。東京帝国大学総長、帝国学士院長などを歴任した。
調査したのは菊池大麓編述「論理略説」。国立国会図書館デジタルコレクション公開本。和装、上中下巻、3冊。
上巻見返しは "菊池大麓編述 | 論理略説 | 版權免許 同盟舎"。
上巻奥付は以下の通り。
明治十五年十二月十六日 板權免許
同 年 同 月 刻成出版
編述者 日本橋區蛎売町三丁目十一番地 菊池大麓
出版者 同區濵町二丁目十一番地 青木輔清
製本發兌 同區濵町二丁目十一番地 同盟舎
中下巻は、奥付の出版日が異なる以外は同じ。
検印紙は3巻とも見返し左上部に貼られている。目打ちは見えない。
以下はより鮮明なカラー画像が公開されている早稲田大学図書館古典籍総合データベース公開本に基づく。
藍色単色、外側に雷紋枠、四辺中央に "同" の字をデフォルメしたものと思われる菱形の模様があり、
それを "藏書記"(あるいは "藏書証" か)の句で結んで円枠を作っている。
割印は丸印、判読できないが漢字には見えない。菊池の印だとすると "DK" か。
なお、早稲田大学図書館古典籍総合データベースでは、3冊本と別に合冊本も公開されている。
3冊本の検印紙は、中央の円枠内は無地に見えるが、合冊本の検印紙は中央に家紋(変わり唐花か)のような図が見える。

青木輔清は、「埼玉人物事典」 (1998) によると生年不詳、1909年没。啓蒙家、旧忍藩士、号東江、青木円治輔清とも名乗る。
明治中期ごろまで同盟舎主人として啓蒙書などを出版し、自身も辞書や教科書などを著している。(こちらも参照)
生年を確認できないが、手塚龍麿著「英学史の周辺」(1968) に拠れば、
有馬私学校(有馬頼咸が開いた英学校)の明治6年の開学願書に、英語教師として
"青木円治(埼玉県士族二九歳)千村五郎へ従学、開成所世話心得、箕作秋坪へ従学"
の記載があるとされるので、1845年生まれか。なお、菊池大麓は、箕作秋坪の次男。
同じ検印紙が明治15年11月出版の井上哲次郎抄譯「倍因氏心理新説」でも確認でき、中央の家紋様の模様も見える。
早稲田大学図書館古典籍総合データベースで確認できる画像(「論理略説」3冊本、同合冊本、「倍因氏心理新説」)を見比べると、
周囲の文字や模様、中央の模様等がそれぞれ微妙に異なるので、原版は一枚づつ作成されたものと思われる。

アドレスは下記の通り。[最終閲覧確認日: 2026.02.01]
「論理略説 上巻」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/753157]
「論理略説 3冊本」. [早稲田大学図書館古典籍総合データベース リンク先 https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ro06/ro06_00137/index.html]
「論理略説 合冊本」. [早稲田大学図書館古典籍総合データベース リンク先 https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ro06/ro06_00621/index.html]
「倍因氏心理新説」. [早稲田大学図書館古典籍総合データベース リンク先 https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ro07/ro07_03145/index.html]
「倍因氏心理新説」 [洋学文庫]. [早稲田大学図書館古典籍総合データベース リンク先 https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko08/bunko08_a0156/index.html]

[2026.02.22 記]
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