初期検印紙調査メモ [国立国会図書館デジタルコレクション]. 埼玉縣(明治17~18年)

埼玉県の出版物に検印紙が貼られているものがある。
まず、「删定家道訓」。確認したのは国立国会図書館デジタルコレクション公開本。和装、上下巻2冊。
奥付の版権届日が明治十三年一月十七日のものに3種類の異版があるので、便宜的に A,B,C版として
見返しと奥付の表記を挙げる。(書肆の住所表示は省略した)
--[A版]--
上巻見返しは "貝原益軒原著 川島楳坪校訂 | 删定家道訓 上下 | 埼玉縣藏版"、
下巻奥付には "同十六年四月十七日再版届 埼玉縣藏版 發兌書林 石川治兵衛" とあるもの。
--[B版]--
上巻見返しは "貝原益軒原著 川島楳坪校訂 | 删定家道訓 上下 | 埼玉縣藏版"、
下巻奥付には "明治十七年二月二十日再版御届 埼玉縣藏版 製本御用書肆 長㠀爲一郎 發兌書肆 山中市兵衛 榊原友吉" とあるもの。
--[C版]--
上巻見返しは "貝原益軒原著 川島梅坪校訂 | 删定家道訓 上下 | 埼玉縣藏版"、
下巻奥付には "明治十七年四月一日再版御届 埼玉縣藏版 御用書肆 須原屋伊八 製本發兌 同支店 賣捌書肆 博聞社支店" とあるもの。
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検印紙は、どれも上巻見返し左上部に貼られている。
緑色単色、飾り枠があり、上下右左に "埼"、"玉"、"刊"、"行"、中央の文字は "删定家道訓檢閲之章"。
下部飾り枠外に、"●●●石版製" と小さく製版社名らしき印字が見えるが判読できない。割印は丸印、"埼玉縣" と読める。

もう一点、「訂正古今紀要」。確認したのは国立国会図書館デジタルコレクション公開本。和装、三巻3冊。
第一巻見返しは "楳坪川島先生編 成齋重野先生閲 巻一 | 訂正古今紀要 | 埼玉縣藏版"。
奥付は3巻全て同じで下記の通り。
明治十八年三月十三日 版權所有
明治一八年三月廿日 刻成
埼玉縣藏版
製本并發賣人 埼玉縣平民 長島爲一郎 武蔵國北足立郡鴻巣驛百廿五番地
検印紙は3冊とも見返し左上部に貼られている。
刷色があずき色である以外は同じデザインで、中央の文字は "古今紀要檢閲之章"。割印も同じ。

検印紙の原版は中央の標題表示の部分が差し替えられる物になっているようだ。
この検印紙のデザインは、「訂正古今紀要」の製本発売人である長島為一郎(盛化堂)の出版物に貼られているものと良く似ている。

国会図書館デジタルコレクションのアドレスは下記の通り。[最終閲覧確認日: 2025.09.30]
「删定家道訓 上巻」[A版]. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/1084473]
「删定家道訓 上巻」[B版]. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/11581862 ログイン必要]
「删定家道訓 上巻」[C版]. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/11581872 ログイン必要]
「訂正古今紀要 巻一」. [国立国会図書館デジタルコレクション リンク先 https://dl.ndl.go.jp/pid/11581945 ログイン必要]

[2025.10.10 記]
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