Hypoderma sp. no.13

Hypoderma sp. no.13
ヒポデルマ属菌。9月11日撮影。
[特徴]
落葉上に散生する。裏面に発生し、子実体の周囲は脱色し、細くて明瞭な黒褐色の帯線に囲まれる。
子座はクチクラ下に生じ、太紡錘形から楕円形、黒色、上面中央にほぼ全長に亘る縦溝があり、湿時には開いて子実層が現れる。
子実層は肉眼では灰色に見える。1 × 0.45 mm. 程度まで。--
子嚢は細長い柄のある紡錘形、先端はほとんど肥厚せず、ルゴール試薬に呈色しない。8胞子をほぼ2列に生じる。84-106 × 8.5-11.5 μm. --
側糸は糸状、無色、少なくとも上半では分岐せず、基部付近は隔壁が多く径 2.8-3 μm.、次第に細くなって中ほどで径 1 μm. 程度、上半は緩やかに屈曲する。--
子嚢胞子は長紡錘形で時に左右不対称、無色、薄壁、平滑、中央部以外には微泡状の内容物があり、全体に不明瞭な薄い被膜がある。26.3-28.5 × 3-3.5 μm. --
殻皮は黒褐色、厚膜で径 2-3 μm. 程度の多角形細胞からなる。子実層上部附近の殻皮はやや厚くなり、内部に無色薄壁で径 6-9 μm. の丸みを帯びた細胞がある。
殻皮の開口部には舌状細胞があり、厚さ 11-15 μm.、径 2-3 μm. の隔壁のある細胞が柵状に並び、先端付近は淡褐色を帯びる。
子実体底面は黒褐色、厚膜、径 2.5-4 μm. の多角形細胞が1-2層に並ぶ。--
子実体周辺には、微小な黒褐色点状の分生子殻が多数見られる。
[コメント]
ミズナラ林内のミズナラ (Quercus crispula) と思われる落葉片に発生していたもの。
同じコナラ属のクヌギに発生する Hypoderma ilicinum としたものや、ブナに発生する
Hypoderma sp. no.8 に近い(あるいは同種かも)と思うが、
前者はやや子嚢胞子が短い点が、後者の子嚢胞子は先端が丸く、僅かに屈曲する点などが異なるので分けておく。寄主範囲の広い Hypoderma 属菌も多く、よく判らない。
[初掲載日: 2025.01.20] //
[サイトのトップへ] //
[掲載種一覧表へ]
All rights reserved. Copyrighted by Masanori Kutsuna, 2025.