盤菌類の検索表
掲載している盤菌類についての検索表です。基本的に二叉式にして簡潔にしたつもりですが、正しくできているかどうかは自信ありません。
肉眼的なわかりやすい特徴を優先したので系統的に近い種が離れたり、その逆もありますが近縁種はだいたい集まっています。
二叉式の検索表は特徴の判断を一度間違えると全く別の所にたどりついたり、行先を失ったりする欠点があります。
また決め手としている特徴が観察できなければ、その先に進めないので場合によっては使い辛く、以下の様に揶揄されることもあります。
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Keys are written by those who don’t need them for those who can’t use them.
"検索表はそれを必要としない者によって、使えない者のために作成される"
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そこで、特徴の紛らわしそうな種については複数箇所に重複して出しているものがあります。
このサイトの掲載種のみの検索表ですので汎用性は必ずしもありませんが、それ以外の種についても、属の見当をつける程度の役には立つと思います。
表の作成に際しては多くの文献を参考にしました。基本部分で参考とした文献は以下の二つです。
・大谷吉雄: 日本産盤菌綱菌類 -目から属までの検索表-. (Trans. Mycol. Soc. Japan ; 31, p. 117-143).
・Dennis, R.W.G.: British Ascomycetes. Revised ed. Cramer, 1981.
十分理解が出来ていない箇所は少しごまかしたり、自分で工夫した所は逆に判り難くなったりで、まだまだ不完全ですが随時追加しながら修正します。
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--- 大まかな種類群までの検索表 ---
I. 子実層は成熟時でも大きく露出しない。子実体は塊状で地中生ないし半地中生、まれに地上生。あるいは子嚢が一つのみの微小な糞生菌 → 3
I. 成熟時には子実層が露出する。子実体は皿状、椀状、棍棒状など様々 → II
II. 子嚢先端は肥厚する事があるが蓋はない → III
III. 子嚢は厚膜(二重膜) → 4
III. 子嚢は薄壁 → IV
IV. 植物生。子嚢盤は子座中、あるいは表皮下から生じる、または基質中に埋没する。成熟すると上面が開いて子実層が現れる → 11
IV. 子嚢盤は様々な基質から発生するが埋没して発生する事は無い → V
V. 子実体は比較的大型、子嚢盤は棍棒状、へら状、鞍状、瘤状等 → 12
V. 子実体は皿状、椀状等 → VI
VI. 子実体は小型で(径2ミリ程度まで)皿状、半透明ロウ状で明色。ゼラチン質ではない → 13
VI. 子実体は普通は半透明ではない。半透明の場合はゼラチン質 → VII
VII. 子実体外面は毛状 → 14
VII. 子実体外面に顕著な毛は無い → VIII
VIII. 子実体は菌核あるいは子座化した組織から生じる (子座が不明瞭な場合は次項も参照)→ 15
VIII. 子実体は菌核あるいは子座化した組織からは生じない → IX
IX. 托組織は球形ないし多角形の細胞よりなる。細胞壁は暗色のものが多い → 16
IX. 托組織は基本的に菌糸状の細胞よりなる。細胞壁は明色 → 17
II. 子嚢先端には蓋がある → X
X. 子実体は革質、丈夫な肉質、あるいはゼラチン質。子嚢は厚膜で比較的長い → 21
X. 子実体は肉質で比較的脆い。子嚢は薄膜 → XI
XI. 成熟した子嚢胞子は紫褐色になる → 22
XI. 子嚢胞子は成熟しても紫褐色にはならない → XII
XII. 子嚢はメルツァー試薬で青変する部分がある → 23
XII. 子嚢はメルツァー試薬で青変しない → XIII
XIII. 顕著な柄がある。比較的大型種 → 24
XIII. 顕著な柄は無い → XIV
XIV. 外面は無毛、毛がある場合は菌糸状で目立たない → 25
XIV. 外面には毛がある。毛は一般には厚膜剛毛状で褐色、時に無色 → 26
--- 種までの検索表 ---
11
A. 子実体は基質(朽木等)に埋没し、成熟時に子実層が表面に現れる → B
B. 縁は反り返らない → C
C. 子嚢胞子は長さ 600 μm. 以下 Schizoxylon sp. no.1
C. 子嚢胞子は長さ 600 μm. 以上 Schizoxylon sp. no.2
B. 縁は多少とも反り返り、内側が見える。内側は普通は白く縁取られる → D
D. 子嚢胞子は楕円形ないし棍棒状 → E
E. 子嚢胞子には隔壁が無い → F
F. 子嚢胞子の短径は 10 μm. 以下 Propolis farinosa
F. 子嚢胞子の短径は 10 μm. 以上 Propolis sp. no.1
E. 子嚢胞子には隔壁がある → G
G. ヨシの枯稈に生じる。子嚢胞子は3隔壁を生じる よくわからない盤菌類 no.13
G. シダに生じる。子嚢胞子は7隔壁を生じる Mellitiosporium pteridinum
D. 子嚢胞子は糸状 → H
H. 子実体は紡錘形 よくわからない盤菌類 no.46
H. 子実体はほぼ円形、壷状 → I
I. 子実上層はメルツァー試薬で青変する → J
J. シダ類の葉柄に発生する よくわからない盤菌類 no.48
J. 落枝あるいは朽木材部に発生する → K
K. 子嚢胞子は 100 μm. 以下 Stictis sp. no.5
K. 子嚢胞子は 100 μm. 以上 → L
L. 側糸上半は屈曲する Stictis sp. no.1
L. 側糸は直線状で屈曲しない Stictis sp. no.6
I. 子実上層はメルツァー試薬で青変しない → M
M. 落葉上に発生する Stictis sp. no.7
M. 落枝や朽木上に発生する → M
N. 子嚢胞子は長さ 180 μm. 以下 Stictis sp. no.2
N. 子嚢胞子は長さ 180 μm. 以上 → O
O. 側糸先端は緩やかに屈曲する Stictis sp. no.3
O. 側糸先端は結節状に膨れて不規則に折れ曲がる Stictis sp. no.4
A. 子実体は基質に深く埋没する事はなく、白い縁取りも無い → P
P. 子実体は表面がタール状で黒い子座中に生じる。植物寄生菌で葉上に発生するが成熟は越年後になる事が多い → Q
Q. 常緑樹生、普通は生葉上で子嚢胞子が成熟する → R
R. モチノキに生じる Fanglania ilicis-integrae
R. ソヨゴに生じる Fanglania ilicis-pedunculosae
Q. 落葉樹生、落葉上で子嚢胞子が成熟する → S
S. アオハダに生じる Rhytisma prini
S. モチツツジに生じる Rhytisma shiraianum
S. カエデ類に生じる → T
T. 成熟すると子座表面が迷路状に隆起して子実層が形成される Rhytisma sp. no.3
T. 成熟しても子座表面は迷路状に隆起しない → U
U. 子座は単一、融合しない Rhytisma sp. no.2
U. 数個以上の子座が群生して融合する Rhytisma japonicum
P. タール状の子座を形成しない。成熟すると上面が放射状に開く、あるいは縦に裂開する → V
V. 上面が放射状に開く → W
W. 子実体の基部はくびれる、または柄がある。 → X
X. 子嚢胞子は無隔壁、糸状 Discocainia? sp. no.1
X. 子嚢胞子には隔壁がある → Y
Y. 隔壁は縦横にあり石垣状 Triblidium sp. no.1
Y. 隔壁は横隔壁のみ → Z
Z. 子嚢胞子は1隔壁、2細胞 Tryblidiopsis pinastri
Z. 子嚢胞子は多隔壁 Triblidium sp. no.2
W. 子実体は組織中に発達し、柄は無い → a
a. 生木の樹皮から破出する よくわからない盤菌類 no.33
a. 落葉や落枝などに生じる → b
b. 枯枝や落枝に生じる → c
c. 針葉樹の落枝上に生じる Coccomyces sp. no.3
c. 広葉樹の落枝上に生じる → d
d 子実層面は半透明。カギカズラに生じる Coccomyces sp. no.9
d 子実層面は鮮黄色 → e
e. 子嚢胞子は 100 μm. 程度まで Coccomyces sp. no.6
e. 子嚢胞子は 120 μm. を超える よくわからない盤菌類 no.41
b. 枯葉や落葉に生じる → f
f. 子嚢胞子は楕円形あるいは紡錘形 → g
g. 子実層は細胞層に覆われない。Trochila laurocerasi
g. 子実層は初め上皮細胞層に覆われ、上皮細胞は裂開後、寄主の組織と共に反り返る。→ h
h. アラカシの落葉に生じる Phacidium sp. no.1
h. ナナミノキ?落葉に生じる Phacidium? sp. no.2
f. 子嚢胞子は糸状 → i / [落葉生 Coccomyces 属菌は種の同定が困難なものが多いので、便宜的に寄主で区別しています。]
i. コナラ属 (Quercus) に生じる → j
j. ミズナラの落葉上に生じる Coccomyces dimorphus
j. アベマキの落葉上に生じる Coccomyces sp. no.11
j. アラカシの落葉上に生じる → k
k. 側糸に被膜は無い Coccomyces sp. no.7
k. 側糸にはゼラチン質の被膜がある Coccomyces sp. no.8
i. コナラ属以外の植物に生じる → l
l. ツバキの落葉上に生じる Coccomyces sp. no.1
l. アオキの枯葉上に生じる Coccomyces sp. no.2
l. シキミの落葉上に生じる Coccomyces sp. no.4
l. シロダモの落葉上に生じる Coccomyces sp. no.5
l. ヤマモモの落葉上に生じる Coccomyces sp. no.12
l. サカキの落葉上に生じる → m
m. 子実体の周囲に帯線は無い Coccomyces sp. no.13
m. 子実体は明瞭な帯線に囲まれる Coccomyces sp. no.10
V. 上面はスリット状に縦に裂ける → n
n. 子嚢胞子は有色、多細胞。(ヒステリウム類)→ 4 を参照。
n. 子嚢胞子は無色 → o
o. 子嚢胞子は糸状 → p
p. 子実体は比較的大型(長径 3 mm. 以上になる) → q
q. ササ類の枯稈に生じる Colpoma guadueticola
q. 広葉樹の落枝に生じる → r
r. クスノキの落枝に生じる Colpoma? sp. no.2
r. ブナ科植物の落枝に生じる → s
s. 子嚢胞子は 50 μm. 以上 Colpoma quercinum
s. 子嚢胞子は 50 μm. 以下 Colpoma sp. no.1
p. 子実体は微小(長径 3 mm. 程度まで)で紡錘形ないし小判形、時に線状 → t
t. シダ(ウラジロ)の葉柄に発生する → u
u. 子嚢胞子は 40 μm. 以下 Lophodermium sp. no.6
u. 子嚢胞子は 40 μm. 以上 Lophodermium sp. no.10
t. 種子植物に発生する → v
v. 被子植物に発生する → w
w. 落枝に発生する → x
x. 子嚢胞子は長さ 35 μm. を超える Lophodermium sp. no.7
x. 子嚢胞子は長さ 35 μm. を超えない Lophodermium sp. no.8
w. 葉に発生する → y
y. カナメモチの落葉に発生する Terriera sp. no.1
y. ツバキの落葉に発生する Lophodermium sp. no.2
y. テイカカズラの落葉に発生する Lophodermium sp. no.1
y. ブナ科植物の落葉に発生する → z
z. アラカシの落葉に発生する Lophodermium sp. no.9
z. ツブラジイの落葉に発生する Lophodermium sp. no.11
v. 裸子植物に発生する → α
α. ヒノキの葉上に発生する Lophodermium chamaecyparisii
α. モミの葉上に発生する Lophodermium sp. no.12
α. マツ類の落葉に発生する → β
β. 明瞭な黒い帯線がある Lophodermium pinastri
β. 帯線がない、もしくはあっても不明瞭 → γ
γ. 子嚢盤底部中央には寄主の表皮細胞がない Lophodermium sp.4
γ. 子嚢盤底部中央には寄主の表皮細胞がある → δ
δ. 子嚢胞子は 90 μm. 以下 Lophodermium sp.3
δ. 子嚢胞子は 90 μm. 以上 Lophodermium sp.5
o. 子嚢胞子は長楕円形、棍棒形、紡錘形など → ε
ε. 草本生あるいはシダ生 → ζ
ζ. シダ上に発生する Cryptomycina sp. no.1
ζ. 草本の枯茎上に発生する → η
η. 側糸は径 3 μm. 程度、先端は丸くカールする Hypoderma sp. no.4
η. 側糸は径 1 μm. 程度、先端は丸くカールしない → θ
θ. セイタカアワダチソウ上に発生する Hypoderma sp. no.7
θ. サルトリイバラ上に発生する Hypoderma sp. no.9
ε. 木本生 → ι
ι. 落葉以外の場所に発生する → κ
κ. 子嚢盤上面には殻皮がなく、子実層が明瞭に現れる Colpoma sp. no.3
κ. 子嚢盤上面には黒色の殻皮がある → λ
λ. フジの葉軸に発生する Hypoderma sp. no.3
λ. ミズナラの堅果上に発生する Hypoderma sp. no.5
ι. 落葉上に発生する → μ
μ. アセビの落葉上に発生する Hypoderma sp. no.1
μ. タカノツメの落葉上に発生する Hypoderma sp. no.12
μ. タブノキの落葉上に発生する Hypoderma sp. no.10
μ. ネジキの落葉上に発生する Hypoderma sp. no.2
μ. ヒサカキの落葉上に発生する Hypoderma sp. no.6
μ. ブナ科植物の落葉上に発生する → ν
ν. 葉柄、葉脈上に生じる Hypoderma sp. no.11
ν. 葉面に生じる → ξ
ξ. クヌギの落葉上に発生する Hypoderma ilicinum
ξ. ブナの落葉上に発生する Hypoderma sp. no.8
12
A. 頭部には顕著なしわ状の襞がある。菌核化したクワの果実から生じる キツネノヤリタケ = Scleromitrula shiraiana
A. 頭部は棍棒状、へら状、塊状、鞍形など。菌核からは生じない → B
B. 子実体は大型、塊状の基部から多数の突起を生じトサカ状になる クチキトサカタケ = Ascoclavulina sakaii
B. 子実体は群生する事はあっても塊状の基部からは発生しない → C
C. 子実体は明色、暗色の場合は子嚢胞子は円筒形ではない → D
D. 子嚢胞子は針状ないし糸状 → E
E. 水辺の朽木に生じる。柄には暗褐色のささくれ状鱗片がある ピンタケ = Vibrissea truncorum
E. 林内地上に生じる → F
F. 頭部は鞍形、縁は柄とは離れる Cudonia sp. no.1
F. 頭部は扁平なへら形 → G
G. 子嚢胞子は長さ 60 μm. 未満 ヘラタケ = Spathularia flavida
G. 子嚢胞子は長さ 70 μm. 以上 Spathularia flavida var. longispora
D. 子嚢胞子は糸状ではない → H
H. 側糸が無い ヒメカンムリタケ = Neolecta vitellina
H. 側糸がある → I
I. 柄は白色半透明状で細い カンムリタケ = Mitrula paludosa
I. 柄は半透明状ではない → J
J. 落葉上に生じる よくわからない盤菌類 no.39
J. 地上生 → K
K. 頭部(子実層の形成される部分)は棍棒状 マツバシャモジタケ = Microglossum cf. griseoviride
K. 頭部(子実層の形成される部分)は拳状あるいは半球状 → L
L. 子嚢胞子の長さは平均 25 μm. 以上 Sarcoleotia globosa
L. 子嚢胞子の長さは平均 25 μm. 未満 → M
M. 頭部は赤褐色 アカズキンタケ = Leotia rutilans
M. 頭部は上記以外の色 → N
N. 柄は緑色を帯びる アオズキンタケ = Leotia chlorocephala
N. 柄は緑色を帯びない → O
O. 柄は普通は黄橙色、頭部は濃緑色 アカエノズキンタケ = Leotia cf. viscosa
O. 頭部は濃緑色ではない ズキンタケ = Leotia lubrica
C. 子実体は暗褐色ないし黒褐色、子嚢胞子は円筒形 → P
P. 子嚢胞子は無色あるいは殆んど無色 → Q
Q. 子嚢胞子は隔壁を生じる Leucoglossum sp. no.1
Q. 子嚢胞子は隔壁を生じない → R
R. 頭部ドーム状で下面は内側に屈曲する Sarcoleotia sp. no.1
R. 頭部は棍棒状 → S
S. 子嚢胞子は大小2型がある ミミズタケ = Microglossum longisporum
S. 子嚢胞子の大きさは斉一 コテングノコウガイ = Sabuloglossum arenarium
P. 成熟した子嚢胞子は暗色になる → T
T. 子実層中に剛毛がある → U
U. 子嚢胞子は5隔壁を生じる テングノシャモジタケ = Trichoglossum farlowi
U. 子嚢胞子は15隔壁を生じる テングノメシガイ = Trichoglossum hirsutum
U. 子嚢胞子は7隔壁を生じる → U
V. 子嚢胞子は長短の2型がある Trichoglossum kunmingense
V. 子嚢胞子の長さは斉一 → W
W. 子嚢胞子は平均 100 μm. 以下で円筒形 ナナフシテングノメシガイ = Trichoglossum walteri
W. 子嚢胞子は平均 100 μm. 以上で両端に向かって細まる Trichoglossum octopartitum?
T. 子実層中に剛毛が無い → X
X. 子実体表面には粘性がある → Y
Y. 側糸先端はゆるやかに屈曲する ナナフシテングノハナヤスリ = Glutinoglossum sp. no.1
Y. 側糸先端はらせん状 Glutinoglossum sp. no.2
X. 子実体表面には粘性が無い → Z
Z. 子嚢胞子は15隔壁を生じる → a
a. 頭部は棍棒状で全面に子実層がある コテングノタマバリ = Geoglossum pumilum
a. 頭部は傘状で子実層は上面のみ Geoglossum sp. no.1
Z. 子嚢胞子の隔壁は15未満 → b
b. 子嚢胞子は9-12隔壁を生じる → c
c. 子嚢胞子は長く淡色のまま、子実上層は淡褐色の物質に被われる カバイロテングノメシガイ = Geoglossum fallax
c. 子嚢胞子は早期に褐色となり、子実上層に被膜物は無い Geoglossum sp. no.2
b. 子嚢胞子は7隔壁を生じる → d
d. 側糸の先端付近の細胞は球状に膨れる タマテングノメシガイ = Geoglossum glabrum
d. 側糸の先端付近の細胞は球状にはならない ヒメテングノメシガイ = Geoglossum umbratile
13
A. 子嚢盤縁部は鋸歯状 → B
B. 子嚢胞子は細紡錘形ないし糸状 → C
C. 側糸の先端は膨らまない Hyalinia sp. no.1
C. 側糸の先端は球状に膨らむ Orbilia sp. no.15
B. 子嚢胞子は楕円形 → D
D. 子嚢胞子の短径は 1 μm. 以上 Orbilia sp. no.6
D. 子嚢胞子の短径は 1 μm. 以下 → E
E. 明らかな柄がある Orbilia sp. no.11
E. 無柄あるいは柄はほとんど無い Orbilia sp. no.16
A. 子嚢盤は全縁 → F
F. 子嚢基部は細く伸びない → G
G. 子嚢胞子はほぼ球形 Hyalorbilia sp. no.3
G. 子嚢胞子は楕円形 Hyalorbilia erythrostigma
G. 子嚢胞子は細長い → H
H. 子嚢胞子は直線的 Hyalorbilia sp. no.1
H. 子嚢胞子は緩やかならせん状 Hyalorbilia sp. no.2
H. 子嚢胞子は弓型に湾曲する Hyalorbilia sp. no.4
F. 子嚢基部は細く伸び、しばしば分岐する → I
I. 子嚢胞子の長さ/幅比は5未満 → J
J. 子嚢胞子は腎臓形 Orbilia delicatula
J. 子嚢胞子はソーセージ形 Orbilia sp. no.7
J. 子嚢胞子は広紡錘形 Orbilia sp. no.9
J. 子嚢胞子は類楕円あるいは三角形 Orbilia sp. no.10
I. 子嚢胞子は細長い(長さ/幅比は5以上)→ K
K. 子嚢胞子は紡錘形で直線状 → L
L. 子嚢胞子の末端は細く伸びて尾状になる Orbilia sp. no.14
K. 子嚢胞子の末端は細く伸びることはない → M
M. 側糸先端は顕著に膨らんで球状になる → N
N. 子嚢胞子は長さ 5-6 μm. Orbilia sp. no.4
N. 子嚢胞子は長さ 8-9 μm. Orbilia sp. no.12
M. 側糸先端は膨らんでも球状にはならない → O
O. 子実体は乳白色を帯びる。子嚢胞子は長さ 9-12 μm. Orbilia sp. no.3
O. 子実体はオレンジ色。子嚢胞子は長さ 8.5-10 μm. Orbilia sp. no.13
K. 子嚢胞子は直線状ではなく、緩やかにカーブするかあるいは折れ曲がる → P
P. 子嚢胞子は全体が緩やかにカーブして三日月形 → Q
Q. 側糸先端は球状に膨らむ Orbilia sp. no.1
Q. 側糸先端は紡錘形に膨らむ Orbilia sp. no.5
P. 子嚢胞子は一端が曲がる → R
R. 子嚢胞子は円筒形、一端が曲がってJ形 Orbilia sp. no.2
R. 子嚢胞子は紡錘形、一端が細くなって尾状になり、折れ曲がる Orbilia sp. no.8
14
A. 子嚢盤はスビクルム上に生じる → B
B. 子嚢は2(稀に1)胞子を生じる よくわからない盤菌類 no.10
B. 子嚢は8胞子を生じる → C
C. 黄ないし橙色 クモノスアカゲヒナノチャワンタケ = Arachnopeziza aurelia
C. 白色 Arachnopeziza aurata
A. スビクルムは見られない → D
D. 毛は短い → E
E. 毛の表面は平滑 → F
F. 毛は厚壁でガラス様 Unguicularia aspera
F. 毛は薄壁 → G
G. 子嚢胞子は長さ 14 μm. 以下 Phialina sp. no.1
G. 子嚢胞子は長さ 14 μm. 以上 Phialina lachnobrachyoides
E. 毛の表面には粗面な部分がある → H
H. 毛の先端は細くなる → I
I. 毛の表面にはヤニ状の物質が付着する Hyaloscypha aureliella
I. 毛の表面にヤニ状の物質は見られない → J
J. 子嚢胞子は 10 μm. 以上 Hyaloscypha albohyalina
J. 子嚢胞子は 10 μm. 以下 よくわからない盤菌類 no.40
H. 毛の先端は細くならない → K
K. 托外皮層はゼラチン化する Hyphodiscus theiodeus
K. 托外皮層はゼラチン化しない → L
L. 縁部の毛状細胞は長さ 30 μm. 程度まで → M
M. 子嚢胞子は幅 2 μm. 以上、タケノコの皮に生じる Cistella sp. no.1
M. 子嚢胞子は幅 2 μm. 以下 → N
N. 子嚢胞子は長さ 6 μm. まで。スギの落葉に生じる Cistella acuum
N. 子嚢胞子は長さ 6 μm. 以上。落枝上に生じる Cistella sp. no.2
L. 縁部の毛状細胞は長さ 30 μm. 以上になる → O
O. 子嚢胞子は紡錘状、草本の枯茎に生じる Cistella grevillei
O. 子嚢胞子は楕円ないし桿菌状、落枝上に生じる Cistella sp. no.3
D. 毛は比較的長い → P
P. 毛の表面は平滑 → Q
Q. 毛は薄壁 Albotricha? sp. no.1
Q. 毛は少なくとも部分的には厚壁 → R
R. 毛は束状になる Urceolella crispula
R. 毛は束状にならない → S
S. 毛は基部付近で折れ曲がる Urceolella sp. no.1
S. 毛は折れ曲がることはない → T
T. 毛は菌糸状で子嚢盤縁部にまばらに生じる よくわからない盤菌類 no.17
T. 毛は剛毛状 → U
U. 剛毛はまばらに生じる Hymenotorrendiella sp. no.1
U. 剛毛は外面全体に密に生じる → V
V. 子嚢胞子は 10 μm. 以下 アラゲヒナノチャワンタケ = Trichopezizella otanii
V. 子嚢胞子は 10 μm. 以上 Trichopezizella sp. no.1
P. 毛の表面は粗面あるいは表面に顆粒をつける → W
W. 毛の上半表面は平滑 → X
X. 子嚢胞子には隔壁がある よくわからない盤菌類 no.22
X. 子嚢胞子には隔壁が無い → Y
Y. ブナの殻斗上に生じる。ブナノシロヒナノチャワンタケ = Dasyscyphella longistipitata
Y. 上記以外の基質に生じる。→ Z
Z. 毛の先端細胞は棍棒状に膨らむ Dasyscyphella sp. no.2
Z. 毛の先端細胞は棍棒状にならない → a
a. 子嚢胞子は長さ 7.7-10.8 μm.、両端に泡状の内容物がある Dasyscyphella sp. no.1
a. 子嚢胞子は長さ 7.1-8.6 μm.、顕著な内容物が見られない Dasyscyphella sp. no.3
W. 毛はほぼ全面に顆粒をつけ粗面 → b
b. 側糸は槍状あるいは太針状 → Lachnum 属とその近縁属 の検索表へ。
b. 側糸は糸状 → c
c. 毛は褐色を帯びる Fuscolachnum sp. no.1
c. 毛は無色 → d
d. 外皮層は顕著にゼラチン化する Proliferodiscus sp. no.1
d. 外皮層に顕著なゼラチン化は見られない → e
e. マツの落葉上に生じる Lachnellula pulverulenta
e. 針葉樹の樹皮上に生じる → f
f. 子嚢胞子は球形 Lachnellula suecica
f. 子嚢胞子は広楕円形で小型 Lachnellula sp. no.2
f. 子嚢胞子は楕円形ないし紡錘形 → g
g. 子嚢頂孔はメルツァー試薬に呈色する Lachnellula laricis
g. 子嚢頂孔はメルツァー試薬に呈色しない Lachnellula sp. no.1
15
A. 子嚢盤は皺のある槍形。クワの実から生じる キツネノヤリタケ = Scleromitrula shiraiana
A. 子嚢盤は椀形、皿形など → B
B. 菌核は寄主から遊離して形成されるか、脱落しやすい → C
C. 菌核は朽木材上に生じる よくわからない盤菌類 no.35
C. 菌核は朽木材以外の場所に生じる → D
D. 寄主はツバキ ツバキキンカクチャワンタケ = Ciborinia camelliae
D. 寄主はホオノキ類 Ciborinia gracilipes
D. 寄主はサカキ Ciborinia sp. no.1
D. 寄主はサクラ よくわからない盤菌類 no.14
D. 寄主はヒサカキ よくわからない盤菌類 no.28
B. 子座化あるいは黒化あるいはミイラ化した寄主組織から生じ、脱落しない → E
E. 子嚢胞子の両端にはゼラチン様の付属物がある → F
F. 子実体は白色系、針葉樹の落葉に発生する Lambertella advenula
F. 子実体は橙色系、広葉樹の落葉落枝に発生する → G
G. 子実体外面は白っぽい。落枝上に発生する ニセキンカクアカビョウタケ = Dicephalospora rufocornea
G. 子実体全体が朱色。葉柄、葉脈上に発生する Dicephalospora aurantiaca
E. 子嚢胞子は楕円形、卵形などで両端に付属物は無い → H
H. 托組織中にゼラチン化した層がある → I
I. クヌギやアベマキの落葉の葉柄に生じる → J
J. 子実層面は淡色、子嚢胞子は一端が明らかに細い勾玉形 Poculum sp. no.1
J. 子実層面は濃色、子嚢胞子は太ソーセージ形 よくわからない盤菌類 no.54
I. 広葉樹の落枝に生じる → K
K. 子嚢胞子は 15 μm. 以上、後に隔壁を生じる Rutstroemia sp. no.2
K. 子嚢胞子は 15 μm. 以下、隔壁を生じない よくわからない盤菌類 no.50
H. 托組織中にはゼラチン化した部分はない → L
L. 子嚢胞子は最終的には褐色を帯びる → M
M. アオキに生じる アオキバニセキンカクビョウタケ = Crassitunica tubakii
M. イチョウに生じる イチョウニセビョウタケ = Hymenoscyphus ginkgonis
M. ツバキに生じる Brunneimargo camelliae
M. サザンカに生じる Lambertella? sp. no.3
L. 子嚢胞子は最後まで無色 → N
N. 外皮層は矩形ないし伸長菌組織 → O
O. ツバキの葉に生じる Lanzia? sp. no.5
O. クヌギの総包に生じる Lanzia sp. no.1
O. ミズキの葉柄に生じる Lanzia? sp. no.3
O. 不明種(カエデ類?)の落葉に生じる Lanzia? sp. no.4
O. クヌギ類の落枝に生じる Rutstroemia? sp. no.1
O. カキノキの落葉に生じる よくわからない盤菌類 no.12
O. ナンキンハゼの葉柄に生じる よくわからない盤菌類 no.38
O. クリのイガに生じる → P
P. 子嚢胞子には隔壁がある クリノイガワンタケ = Lanzia echinospora
P. 子嚢胞子に隔壁は無い よくわからない盤菌類 no.31
N. 外皮層は円形ないし多角形菌組織 → Q
Q. 粒状の分生子果が同時に発生する Pycnopeziza pachyderma
Q. 分生子果は同時に発生しない → R
R. 朽木生 → S
S. 子嚢胞子は 20 μm. を超える Tatraea macrospora
S. 子嚢胞子は 20 μm. 以下 よくわからない盤菌類 no.4
R. 朽木生ではない → T
T. 針葉樹に生じる → U
U. スギの葉に生じる Stromatinia cryptomeriae
U. モミ類のまつかさに生じる Ciboria rufofusca
U. マツの落葉に生じる マツバチャワンタケ = Piceomphale pinicola
T. 広葉樹に生じる → V
V. アケビの果皮に生じる Ciboria sp. no.1
V. クワの実に生じる Ciboria shiraiana
V. コナラの堅果(ドングリ)に生じる Ciboria batschiana
V. コバノガマズミの種子に生じる Ciboria? sp. no.2
V. サクラ類の果実に生じる Monilinia kusanoi
V. ツバキの果皮に生じる よくわからない盤菌類 no.53
V. ハンノキ類の雄花に生じる Ciboria amentacea
T. 上記以外(基質不詳のもの)Ciboria sp. no.3
16
A. 子嚢胞子は暗褐色になる → B
B. 子嚢胞子には隔壁があり2細胞 → C
C. 子嚢胞子は 14 μm. 以上 クロビョウタケ = Sclerococcum stygium
C. 子嚢胞子は 14 μm. 未満 Rhizodiscina lignyota
B. 子嚢胞子は1細胞 → D
D. 広葉樹の朽木に生じる Catinella olivacea
D. 針葉樹(マツ)の朽木に生じる Catinella sp. no.1
A. 子嚢胞子は無色または淡色 → E
E. 子嚢盤は緑色、あるいは外面が灰緑色を帯びる → F
F. 外面は僅かに微毛状 Chlorosplenium chlora
F. 外面は平滑 → G
G. 生きたコケ上に生じる ミドリコケビョウタケ = Mniaecia jungermanniae
G. 朽木上に生じる Mollisia sp. no.2
E. 子嚢盤は緑色を帯びない → H
H. 子嚢胞子は糸状。水辺に発生する → I
I. 広葉樹の朽木に生じる Vibrissea flavovirens
I. ヨシの稈上に生じる Vibrissea sp. no.1
H. 子嚢胞子は糸状ではない → J
J. 藻類?の生えた地上に発生する → よくわからない盤菌類 no.44
J. 菌類上に生じる → K
K. 古い硬質菌の子実体上に発生する → よくわからない盤菌類 no.51
K. カシ類紫かび病菌の菌叢に発生する → よくわからない盤菌類 no.52
J. 植物上に生じる → L
L. 子実体は表皮下から発生する → M
M. 子実体は房状になって発生する → N
N. 子実体は暗色 Dermea cerasi
N. 子実体は明色 → O
O. 針葉樹に生じる Pezicula cinnamomea
O. 広葉樹に生じる → P
P. 子嚢胞子の短径は 10 μm. 以上 Pezicula sp. no.2
P. 子嚢胞子の短径は 10 μm. 以下 → Q
Q. 子嚢胞子の長径は 20 μm. 以上 Pezicula sp. no.1
Q. 子嚢胞子の長径は 20 μm. 以下 Pezicula sp. no.3
M. 子実体は房状にならない → R
R. 縁部には毛状の菌糸が有る → S
S. 子嚢胞子は 10 μm. 以上 Pyrenopeziza sp. no.3
S. 子嚢胞子は 10 μm. 以下 → T
T. 子実層面はやや赤みを帯びる よくわからない盤菌類 no.18
T. 子実層面は灰色 Pyrenopeziza sp. no.2
R. 縁部に毛状の菌糸は無い → U
U. 子実体は軟骨質、湿時ややゼラチン質 Waltonia pinicola
U. 子実体は軟骨質ではない → V
V. 子実層面は明色、赤色系 よくわからない盤菌類 no.42
V. 子実層面は暗色、灰色ないし褐色系 → W
W. 枝上に発生する よくわからない盤菌類 no.43
W. 朽木材部に発生する よくわからない盤菌類 no.55
W. 落葉葉柄上に発生する ハイイロヒラサラタケ = Pyrenopeziza orientalipetiolaris
L. 子実体は基質表面に生じる(少なくとも寄主の表皮は顕著にはめくれない) → X
X. スビクルム上に発生する → Y
Y. 子嚢胞子は一細胞 Tapesia fusca, Tapesia sp. no.1
Y. 子嚢胞子は多細胞 よくわからない盤菌類 no.20
X. スビクルムは認められない → Z
Z. 子嚢胞子には隔壁がある → a
a. 子嚢胞子は1隔壁を生じる よくわからない盤菌類 no.57
a. 子嚢胞子は3隔壁を生じる → b
b. 朽木生 → c
c. 子実層面は乳白色 Niptera? sp. no.1
c. 子実層面は暗灰色 Patellariopsis atrovinosa
b. 草本生 → d
d. 子実体は茶褐色 Micropeziza sp. no.1
d. 子実体は灰褐色 Niptera? sp. no.2
a. 子嚢胞子は7隔壁を生じる → e
e. 子実層面は乳白色 Belonopsis? sp. no.1
e. 子実層面は黄色 よくわからない盤菌類 no.37
Z. 子嚢胞子には隔壁が無い(稀に1隔壁を生じる) → f
f. 生木の樹皮上に生じる よくわからない盤菌類 no.7
f. 枯れた植物遺体上に生じる → g
g. 朽木生 → h
h. 子実層面は黒色 → i
i. 子嚢胞子の短径は 2.5 μm. を超える よくわからない盤菌類 no.36
i. 子嚢胞子の短径は 2.5 μm. を超えない よくわからない盤菌類 no.49
h. 子実層面は淡色 → j
j. 子嚢胞子は 20 μm. を超える Mollisia sp. no.8
j. 子嚢胞子は 20 μm. を超えない Mollisia? sp. no.4
g. 朽木生ではない → k
k. 双子葉植物上に生じる → l
l. 草本に生じる Mollisia sp. no.12
l. 木本に生じる → m
m. ハンノキ類の雌花序(果鱗)に生じる Mollisia amenticola
m. 落葉や葉柄に生じる → n
n. ホオノキの落葉の葉柄や葉脈上に生じる Mollisia sp. no.1
n. ブナ科の落葉に生じる Pyrenopeziza nervicola
n. フジの落葉に生じる Mollisia sp. no.11
k. 単子葉植物上に生じる → o
o. タケ、ササ類の枯稈に生じる → p
p. 子嚢胞子は 20 μm. を超える Mollisia? sp. no.5
p. 子嚢胞子は 20 μm. を超えない Mollisia sp. no.9
o. ススキの枯茎に生じる → q
q. 子嚢盤は橙色 よくわからない盤菌類 no.19
q. 子嚢盤は白色ないし灰色 → r
r. 子嚢胞子は 15 μm. 以下 Mollisia sp. no.7
r. 子嚢胞子は 15 μm. 以上 Mollisia sp. no.10
17
A. 針葉樹のヤニ上に発生する → B
B. 子嚢盤はオレンジ色 Sarea resinae
B. 子嚢盤はほぼ黒色 Sarea difformis
A. ヤニ以外の基質に発生する → C
C. 子嚢胞子は糸状で非常に長い Vibrissea flavovirens
C. 子嚢胞子は糸状ではない → D
D. 子実体は少なくとも一部がゼラチン化するかゼラチン質に包まれる → E
E. 子嚢胞子は黒褐色 ゴムタケ = Bulgaria inquinans
E. 子嚢胞子は無色あるいは淡色 → F
F. 托外皮層は少なくとも一部はゼラチン質に包まれるかゼラチン化する → G
G. 菌類の子実体あるいは菌叢中に発生する → H
H. ツチグリの古い子実体に発生する Gelatinipulvinella astraeicola
H. カシ類紫かび病菌の菌叢に発生する よくわからない盤菌類 no.52
G. 発生場所は上記以外 → I
I. 子実体は地上性、大型で頭部は拳状で長い柄がある → J
J. 頭部は赤褐色 アカズキンタケ = Leotia rutilans
J. 頭部は上記以外の色 → K
K. 柄は緑色を帯びる アオズキンタケ = Leotia chlorocephala
K. 柄は緑色を帯びない → L
L. 柄は普通は黄橙色、頭部は濃緑色 アカエノズキンタケ = Leotia cf. viscosa
L. 頭部は濃緑色ではない ズキンタケ = Leotia lubrica
I. 子実体は椀形、洋コマ形、クッション形など → M
M. 地上生 Pezoloma? sp. no.1
M. 植物上に生じる → N
N. 子実体は淡ライラック色ないし赤紫色系 → O
O. 托組織髄層はゼラチン様物質に包まれない Pezoloma? sp. no.2
O. 托組織髄層はゼラチン様物質に包まれる → P
P. 子嚢胞子は 10 μm. 以上、ブナの殻斗に生じる Ombrophila fagiseda
P. 子嚢胞子は 10 μm. 以下 → Q
Q. 子嚢胞子は 6.5 μm. 以上 Neobulgaria sp. no.1
Q. 子嚢胞子は 6.5 μm. 以下 → R
R. 朽木生ではない Neobulgaria sp. no.3
R. 朽木生 → S
S. 子実体外面は粒状 ニカワチャワンタケ = Neobulgaria pura
S. 子実体外面は粒状にはならない Neobulgaria sp. no.2
N. 赤紫色系ではない → T
T. 腐朽材、竹稈や古い核菌類上に生じる → U
U. 子嚢胞子は複数の隔壁を生じる → V
V. 子嚢胞子の被膜表面は平滑 Strossmayeria bakeriana
V. 子嚢胞子の被膜表面は疣状 Strossmayeria sp. no.1
U. 子嚢胞子は無隔壁、あるいは1隔壁を生じる → W
W. 子実体は花弁状、黒色 クロハナビラタケ = Ionomidotis frondosa
W. 子実体は椀形 → X
X. 子実体は濃色 よくわからない盤菌類 no.50
X. 子実体は淡色 → Y
Y. 子実体は白色 Bisporella discedens
Y. 子実体は黄色 Bisporella citrina
T. 枯葉上あるいは草本上に生じる → Z
Z. 針葉樹の枯葉に生じる → a
a. スギの枯葉に生じる Chloroscypha seaveri
a. ヒノキの枯葉に生じる Chloroscypha alutipes
Z. 草本生 → b
b. 縁は全縁ではない → c
c. 縁は細かな鋸歯状になる Crocicreas cyathoideum var. cacaliae
c. 縁にはまつげ状の毛束がある Crocicreas coronatum
b 縁は全縁 → d
d. 子実層面は黄色、子嚢胞子は 40 μm. を超える Hymenoscyphus sp. no.14
d. 子実層面は乳白色 → e
e. 子嚢胞子は 20-30 μm. Crocicreas sp. no.2
e. 子嚢胞子は 10 μm. 以下 Crocicreas sp. no.3
F. 托外皮層はゼラチン質に包まれず、ゼラチン化もしない → f
f. 子実体は赤紫色系 → g
g. 子嚢胞子は小型、楕円形 Ombrophila? sp. no.1
g. 子嚢胞子は大型、紡錘形 → h
h. 子実体は軟らかいゼラチン質、子嚢胞子には大きな油球がある → i
i. 側糸の先端は著しく膨らんで球状になる Ascocoryne sp. no.1
i. 側糸の先端は球状にはならない。しばしば棍棒状のアナモルフを伴う ヒメムラサキゴムタケ = Ascocoryne sarcoides
h. 子実体は柔軟な革質、子嚢胞子の内容物は細かい泡状 → j
j. 子嚢胞子は平均 20 μm. 以上、後に5あるいはそれ以上の隔壁を生じる ムラサキゴムタケ = Ascocoryne cylichnium
j. 子嚢胞子は平均 20 μm. 以下、後に3隔壁を生じる Ascocoryne sp. no.2
f. 子実体は赤紫色系ではない → k
k. 子嚢胞子は子嚢中で発芽し、多数の二次胞子を生じる Tympanis sp. no.1
k. 子嚢胞子は子嚢中で発芽しない → l
l. 針葉樹の枝に生じる Cenangium ferruginosum
l. 双子葉草本の遺体上に生じる Crocicreas sp. no.1
l. ススキの枯茎上に生じる よくわからない盤菌類 no.24
D. 子実体にはゼラチン化、あるいはゼラチン質に包まれる部分は無い(少なくとも顕著なゼラチン化は見られない) → m
m. 子実体はKOH水溶液中で暗褐色ないし紫褐色の色素を出す → n
n. 子実体は花弁状、子実層面、外面ともほぼ黒色 クロハナビラタケ = Ionomidotis frondosa
n. 子実体は椀状ないし皿状、外面はさび色を帯びる → o
o. 子実体は柔軟で肉は薄い Ionomidotis sp. no.1
o. 子実体はコルク質で肉厚 → p
p. 子実層面は暗紫褐色 Cordierites sp. no.1
p. 子実層面は茶褐色 Cordierites sp. no.2
m. KOH 水溶液で顕著な色素を出さないか淡色の色素を出す → q
q. 子実体は緑色ないしオリーブ色を帯びる → r
r. 子実体はオリーブ褐色 → s
s. 子嚢胞子は 10 μm. 以下 Chlorencoelia sp. no.1
s. 子嚢胞子は 10 μm. を超える コケイロサラタケモドキ = Chlorencoelia torta
r. 子実体は青緑色 → t
t. 落葉上に生じる Chlorociboria aeruginella
t. 朽木上に生じ、材は青く染まる → u
u. 柄は偏心性 ロクショウグザレキンモドキ = Chlorociboria aeruginascens
u. 柄は中心性 → v
v. 子実層面は大部分が乳白色 Chlorociboria poutoensis
v. 子実層面は緑色 → w
w. 子嚢胞子は 15 μm. 未満 ロクショウグサレキン = Chlorociboria aeruginosa
w. 子嚢胞子は 20 μm. を超える Chlorociboria sp. no.1
q. 子実体は緑色を帯びない → x
x. 托外皮層の細胞は比較的厚膜 → y
y. 托外皮層の細胞は無色でガラス様 → z
z. 子実体は黄色 ビョウタケ = Bisporella citrina
z. 子実体は白色 よくわからない盤菌類 no.23
y. 托外皮層の細胞は少なくとも一部は有色 → α
α. 子嚢胞子は隔壁を生じる よくわからない盤菌類 no.25
α. 子嚢胞子は隔壁を生じない → β
β. Rhytidhysteron 属菌上に発生する Unguiculariopsis ravenelii
β. Xylaria 属菌上に発生する Encoelia cubensis
x. 托外皮層の細胞は薄膜 → γ
γ. 子嚢盤の表面には褐色のヤニ状の物質が付着する → δ
δ. 子嚢胞子は単細胞 Crustomollisia roburnea
δ. 子嚢胞子は多細胞、両端に付属糸がある よくわからない盤菌類 no.56
γ. 子嚢盤の表面にはヤニ状の付着物は無い → ε
ε. 托最外層は毛状にならない → Hymenoscyphus 属とその近縁種群など の検索表へ。
ε. 托最外層は短い毛状になって立ち上がる → ζ
ζ. 子実体は黄色 → η
η. 顕著な柄がある Lachnum pygmaeum
η. ほとんど無柄の小型種 Calycellina_punctata
ζ. 子実体は白色 → θ
θ. フジの葉柄に生じる よくわからない盤菌類 no.21
θ. 草本の枯茎に生じる Calycina herbarum
21
A. 子実層面に剛毛を生じる マツバノヒゲワンタケ = Desmazierella acicola
A. 子実層面に剛毛を生じない → B
B. 子実層面は黒色ないし黒褐色 → C
C. 子嚢胞子表面は細かい疣状、子実体はゼラチン質 オオゴムタケ = Trichaleurina tenuispora
C. 子嚢胞子は平滑か横皺があるが疣状ではない → D
D. 子嚢胞子は球形 → E
E. 側糸先端はまっすぐ クロチャワンタケ = Pseudoplectania nigrella
E. 側糸先端はかぎ状に曲がるものがある ニセクロチャワンタケ = Pseudoplectania melaena
D. 子嚢胞子は球形ではない → F
F. 子嚢胞子はソーセージ形 Plectania campylospora
F. 子嚢胞子は楕円形あるいは卵形 → G
G. 子嚢盤外面は赤錆色 Plectania melastoma?
G. 子嚢盤外面は黒褐色 → H
H. 子嚢胞子側面には横皺がある クロヒメチャワンタケ = Plectania platensis
H. 子嚢胞子は平滑 Plectania sp. no.1
B. 子実層面は淡色あるいは鮮色 → I
I. 子嚢盤外面には立ち上がった剛毛がある シロキツネノサカズキ = Microstoma floccosum
I. 子嚢盤は無毛、あるいは菌糸状のねた毛がある → J
J. 子嚢胞子表面は平滑 → K
K. 子嚢胞子は球形。イブキの葉に生じる小型菌 イブキアカツブエダカレキン = Pithya cupressina
K. 子嚢胞子は楕円形。朽木生 → L
L. 子実層面は赤色 "ベニチャワンタケ" = Sarcoscypha sp. no.1
L. 子実層面はクリーム色 ヨソオイチャワンタケ = Sarcoscypha vassiljevae
J. 子嚢胞子表面には条線模様がある → M
M. 朽木生 → N
N. 子嚢胞子の縦の隆起線は片面に8本程度以上 Phillipsia sp. no.1
N. 子嚢胞子の縦の隆起線は片面に4本程度まで ニクアツベニサラタケ = Phillipsia domingensis
M. 地中の菌核から房状に生じる → O
O. 子嚢胞子の両端は丸い ミミブサタケ = Wynnea gigantea
O. 子嚢胞子の両端には乳頭状突起がある オオミノミミブサタケ = Wynnea macrospora
22
A. 子嚢胞子は一塊になって射出される → B
B. 子嚢盤は黄色 Saccobolus minimus
B. 子嚢盤は白色 Saccobolus depauperatus
A. 子嚢胞子はばらばらに射出される → C
C. 糞生 → D
D. 子実体は黄色味を帯びる Ascobolus crenulatus
D. 子実体は白色 Ascobolus sacchariferus
C. 糞生ではない → E
E. 焚火跡の炭上に発生する Ascobolus carbonarius
E. 焚火跡以外の場所に発生する → F
F. 死体の分解跡などに発生する イバリスイライカビ = Ascobolus denudatus
F. 植物遺体上や地上に発生する → G
G. 子嚢胞子は紡錘形 Ascobolus viridis
G. 子嚢胞子は楕円形 → H
H. 子嚢表面の模様は片面で十数本程度 Ascobolus demangei
H. 子嚢表面の模様は片面で十本未満 Ascobolus sp. no.1
23
A. 特に子嚢先端部がメルツァー試薬で強く青変する → B
B. 子嚢胞子は球形 アレハダチャワンタケ = Scabropezia scabrosa
B. 子嚢胞子は楕円形 → Peziza 属(広義) の検索表へ。
A. 子嚢は広くメルツァー試薬で青変する。(全体が青変あるいは上半が青変する。)→ C
C. クッション形で赤色系の微小種 → D
D. 糞生 Iodophanus carneus
D. 糞生ではない Iodophanus testaceus
C. 肉質は柔らかく盤状、褐色系 → E
E. 皮層外面は球形細胞からなる。小型種、1cm. 未満 ミズベノクズダマタケ = Adelphella babingtonii
E. 皮層外面は柵状の菌組織からなる。中型種 → F
F. 子嚢胞子は平滑 カバイロチャワンタケ = Pachyella clypeata
F. 子嚢胞子は粗面 → G
G. 切断面は変色しない ケシムラサキチャワンタケ? = Pachyella violaceonigra?
G. 切断面は徐々に黄変する Pachyella sp. no.1
24
A. 頭部の子実層は稜で網目状に区切られる → B
B. 頭部は柄に直生する アミガサタケ = Morchella esculenta
B. 頭部は柄に隔生する トガリアミガサタケ = Morchella sp. no.1
A. 頭部の子実層は単一で椀状、皿状、釣鐘状、鞍状、脳状など → C
C. 頭部は釣鐘状、柄は太い円柱状 テンガイカブリ = Verpa digitaliformis
C. 頭部は脳状 シャグマアミガサタケ = Gyromitra esculenta
C. 頭部は皿状、椀状ないし鞍状、稀に釣鐘状 → D
D. 柄は円柱状で長い → E
E. 頭部はほとんど黒色 クロアシボソノボリリュウ = Helvella atra
E. 頭部は黒色ではない → F
F. 子嚢胞子は楕円形ないし紡錘形 → G
G. 外面の毛は比較的短い、子嚢胞子表面は微疣状 ナガエノチャワンタケ = Helvella macropus
G. 外面の毛は比較的長い、子嚢胞子表面は平滑 ナガエノケノボリリュウ = Helvella ephippioides
F. 子嚢胞子は広楕円形 → H
H. 頭部は鞍状になる → I
I. 頭部の縁は内屈しない アシボソノボリリュウ = Helvella elastica
I. 頭部の縁は内屈する Helvella sp. no.4
H. 頭部は鞍状にならない → J
J. 子嚢胞子は 18 μm. 以下 Helvella sp. no.1
J. 子嚢胞子は 18 μm. 以上 Helvella sp. no.3
D. 柄は短い、あるいは長くて深い縦溝がある → K
K. 柄は長く頭部とは明瞭に区別できる。頭部は普通は反り返って鞍状あるいは釣鐘状になる → L
L. 頭部裏面は毛状 → M
M. 頭部は白っぽい。裏面は微毛状 ノボリリュウ = Helvella crispa
M. 頭部は褐色。裏面は毛状 Helvella sp. no.2
L. 頭部裏面は平滑、無毛 → N
N. 子実層面は黒色 クロノボリリュウ = Helvella lacunosa
N. 子実層面は灰色 → O
O. 頭部は鞍状、柄に接した縁部は柄に合着する Helvella sp. no.5
O. 頭部は釣鐘状、柄に接した縁部は柄に合着しない カサガタノボリリュウタケ = Helvella phlebophora
K. 柄は比較的短く、頭部は椀状ないしゆがんだ皿状 → P
P. 子嚢胞子は平滑、頭部は深い椀状 → Q
Q. 柄の溝は脈状の隆起となって頭部裏面周辺まで伸びる ウラスジチャワンタケ = Helvella acetabulum
Q. 柄の溝は頭部裏面にはほとんど伸びない カバイロサカズキタケ = Dissingia leucomelaena
P. 子嚢胞子表面は平滑ではなく、両端には突起がある → R
R. 子嚢胞子両端の突起は中央が窪む Discina leucoxantha
R. 子嚢胞子両端は網目状突起が長く伸びて数本の刺状に見える オオシトネタケ = Gyromitra parma
R. 子嚢胞子両端の突起は円錐状に尖る フクロシトネタケ = Discina perlata
25
A. 子嚢胞子表面は平滑ではない → B
B. 子嚢胞子は球形 → C
C. 子嚢胞子表面の突起は網目状 Lamprospora sp. no.1
C. 子嚢胞子表面の突起は網目状にならない → D
D. 子嚢胞子表面の突起は丸い疣状 Lamprospora tuberculata
D. 子嚢胞子表面の突起は刺状 Ramsbottomia crechqueraultii
B. 子嚢胞子は球形ではない → E
E. 子嚢胞子表面には独立した疣状突起がある → F
F. 子嚢盤は椀状だが側面に基部まで達する切れ込みがある よくわからない盤菌類 no.34
F. 子嚢盤は皿状 → G
G. コケ生の微小種 Octospora sp. no.2
G. 地上生あるいは朽木生 → H
H. 子嚢胞子表面の疣状突起は径 3 μm. 以上になる オリーブサラタケ = Aleurina imaii
H. 子嚢胞子表面の疣状突起は径 1 μm. 以下 Aleurina sp. no.1
E. 子嚢胞子表面は多少とも網目状の突起で覆われる → I
I. 朽木生 → J
J. 子嚢胞子両端には円錐状の突起がある フクロシトネタケ = Discina perlata
J. 子嚢胞子両端には複数のとげ状突起がある オオシトネタケ = Gyromitra parma
I. 地上生 → K
K. 子実体は黄色、直径は 1 cm. を超えない → L
L. 子嚢胞子の長径は 10 μm. 未満 Aleuria cestrica
L. 子嚢胞子の長径は 10 μm. を超える Aleuria sp. no.1
K. 子実体は鮮橙色あるいは赤色で直径は 1 cm. を超える → M
M. 子実体縁部にはごく短い褐色厚膜の毛がある Melastiza rubra
M. 子実体縁部に厚膜の毛は無い ヒイロチャワンタケ = Aleuria aurantia
A. 子嚢胞子は平滑、あるいは殆んど平滑 → N
N. 子嚢胞子は球形 → O
O. 針葉樹林内に生じる椀型の中型種。子実体は普通は青変性がある キチャワンタケ = Caloscypha fulgens
O. 小型種で盤状。子実体は青変性が無い → P
P. 地上生 → Q
Q. 子実体は橙色ないしサーモンピンク色 Pulvinula sp. no.1, Pulvinula sp. no.2
Q. 子実体は淡色、白色系 → R
R. 子実体は白色 Pulvinula sp. no.3
R. 子実体はややライラック色を帯びる Pulvinula sp. no.6
P. 焚き火跡に生える → S
S. 子実体は白色 Pulvinula sp. no.5
S. 子実体は白色ではない → T
T. 子嚢胞子は径 10 μm. 以下 Pulvinula sp. no.4
T. 子嚢胞子は径 10 μm. 以上 よくわからない盤菌類 no.32
N. 子嚢胞子は楕円形など → U
U. 焚き火跡に生える Pyronema omphalodes
U. 焚き火跡以外に生える → V
V. 子実体は黄色ないし橙色 → W
W. 子実体は深い椀形、直径 1 cm. 以上になる Acervus epispartius
W. 子実体は肉厚の盤状、直径 3 mm. 以下 → X
X. 子嚢胞子は泡状の小さな油球を含む Kotlabaea deformis
X. 子嚢胞子は一個の大きな油球を含む Octospora sp. no.1
V. 子実体は上記以外の色 → Y
Y. 中型ないし比較的大型種 → Z
Z. 子実体は椀形 Tarzetta catinus
Z. 子実体は切れ込みがあり不完全な椀形 → a
a. 子実体は濃色 ウズマキワンタケ = Otidea bufonia?
a. 子実体は淡色 Otidea sp. no.1
Y. 1センチ以下の小型種 → b
b. 地上生 よくわからない盤菌類 no.5
b. 糞生の微小種 → c
c. 子嚢は16胞子を生じる Coprotus sp. no.1
c. 子嚢は8胞子を生じる → d
d. 子嚢胞子は 10 μm. 以上 Coprotus sp. no.2
d. 子嚢胞子は 10 μm. 以下 Coprotus glaucellus
26
A. 子実層面は黒っぽい。豆状の半地下生菌 Genea hispidula
A. 子実体は皿状ないし椀状 → B
B. 子実層面は黄ないし赤色系統 → C
C. 毛は表面の細胞よりも内部から生じる → Scutellinia 属とその近縁属 の検索表へ。
C. 毛は表面の細胞から生じる → D
D. 毛は褐色 → E
E. 子嚢胞子は平滑 Anthracobia maurilabra
E. 子嚢胞子は粗面 Melastiza rubra
D. 毛は無色で目立たない。子嚢胞子は球形 → F
F. 焚き火跡に発生する。子嚢胞子は径 13.8-15.0 μm. Sphaerosporella brunnea
F. 発生地は焚き火跡ではない。子嚢胞子は径 9.7-11.5 μm. Sphaerosporella sp. no.1
B. 子実層面は白ないしクリーム色、灰色など → G
G. 子嚢胞子は粗面 → H
H. 子実体は浅い皿形 イバリスズメノワン = Spooneromyces velenovskyi
H. 子実体は深い椀形。 → I
I. 子嚢胞子は楕円形 シロスズメノワン = Humaria hemisphaerica
I. 子嚢胞子は紡錘形 Jafnea fusicarpa
G. 子嚢胞子は平滑ないしほとんど平滑 → J
J. 毛は比較的淡色あるいは無色 → K
K. アンモニア菌 Pseudombrophila petrakii
K. 糞生の微小種。剛毛は無色で針状。 → L
L. 剛毛は 500 μm. を超え、子嚢胞子の短径は 10 μm. 以下 Lasiobolus sp. no.1
L. 剛毛は 500 μm. 以下、子嚢胞子の短径は 10 μm. 以上 Lasiobolus cuniculi
J. 外面は剛毛のため褐色に見える → M
M. 子嚢胞子に油球は見られない → N
N. 子嚢胞子は楕円形 Tricharina sp. no.1
N. 子嚢胞子は紡錘形、左右不対称 Tricharina japonica
M. 子嚢胞子には油球がある → O
O. 子嚢胞子はわずかに粗面 Trichophaea sp. no.2
O. 子嚢胞子は平滑 → P
P. 焚火跡に生じる Trichophaea abundans
P. 地上に生じる → Q
Q. 子嚢胞子内容物は泡状 Trichophaea sp. no.1
Q. 子嚢胞子は大きな油球を含む → R
R. 子嚢胞子内の油球は偏在するものが多い Trichophaea sp. no.3
R. 子嚢胞子内の油球は中心にある Trichophaea woolhopeia?
3
A. 糞生菌。子嚢は一個のみの微小菌 Trichobolus zukalii
A. 地下生菌あるいは半地下生菌 → B
B. 中実塊状で断面は大理石状あるいは霜降状 → C
C. 表面は淡色で平滑 Tuber sp. no.1
C. 表面は黒褐色で角錐の疣状 → D
D. 表面の疣は径 1 mm. 以上、黒褐色 Tuber sp. no.2 "イボセイヨウショウロ"
D. 表面の疣は径 1 mm. 以下、茶褐色 Tuber sp. no.3
B. 内部には空隙がある → E
E. 空隙は一つ(中空)。表面には剛毛がある Genea hispidula
E. 内部は迷路状、表面に剛毛は無い → F
F. 空隙は狭く、断面は迷路状。表面は赤褐色 クルミタケ = Hydnotrya tulasnei
F. 空隙は広く、表面は淡墨色 Peziza guizhouensis
4 [盤菌類以外の小房子嚢菌など。多少とも盤状の子実体を形成する種類について便宜的に収めます。]
A. 子実体は暗色ないし黒褐色で盤状、子嚢胞子は褐色 → B
B. 子嚢胞子は多細胞で石垣状 Tryblidaria? sp. no.1
B. 子嚢胞子は2細胞 Rhizodiscina lignyota
B. 子嚢胞子は1細胞 → C
C. 広葉樹の朽木に生じる Catinella olivacea
C. 針葉樹(マツ)の朽木に生じる Catinella sp. no.1
A. 子実体は暗色ないし黒褐色で唇状、ボート型など → D
D. 湿時にも盤状にならず、子実層はほとんど露出しない。 → E
E. 子嚢胞子は両端の細胞が淡色 Hysterium pulicare
E. 子嚢胞子は一様な褐色 Hysterium macrosporum?
D. 湿時には幾分盤状になり子実層が顕著に露出する → F
F. 子嚢胞子は上半の細胞が明らかに幅広い Rhytidhysteron sp. no.1
F. 子嚢胞子の各細胞はほぼ同幅 → G
G. 外面には隆起した畝状の縦皺がある。子嚢胞子は4細胞 Rhytidhysteron rufulum
G. 外面に畝状の縦皺は見られない。子嚢胞子は2細胞 Rhytidhysteron hysterinum
--- 各分類群の検索表 ---
Hymenoscyphus 属とその近縁種群など
A. 子実層面は多少とも凸形、水辺の濡れた植物遺体に生じる → B
B. 径 5 mm. 以上で長い柄がある。子実体はややライラック色ないしピンク色を帯びる Cudoniella clavus
B. 径 5 mm. 以下。柄は短いあるいは殆んど座生する → C
C. 子実体は乳白色 Hymenoscyphus varicosporoides
C. 子実体はピンク色を帯びる よくわからない盤菌類 no.45
A. 上記以外 → D
D. 菌類、藻類、コケ、シダ類に生じる → E
E. 核菌類上に生じる よくわからない盤菌類 no.26
E. 藍藻類に生じる Mniaecia? sp. no.1
E. コケ類に生じる Bryoscyphus conocephali?
E. シダ類に生じる Allophylaria? sp. no.1
D. 草本性あるいは木本性の植物上に生じる → F
F. 草本性の植物遺体上に生じる → G
G. 柄はほとんど無く、座生状 Calycina herbarum
G. 明瞭な柄がある → H
H. 子嚢胞子は 40 μm. を超える → I
I. 子嚢胞子末端に盃形ゼラチン質の付属物がある Hymenoscyphus torquatus
I. 子嚢胞子末端は細長く伸び、付属物はない Hymenoscyphus sp. no.14
H. 子嚢胞子は 40 μm. を超えない → J
J. 子嚢胞子は 20 μm. 以下 → K
K. 子実層は黄色 Hymenoscyphus sp. no.13
K. 子実層はほぼ白色 → L
L. 子嚢胞子には大型の油球がある Hymenoscyphus sp. no.20
L. 子嚢胞子に大型の油球はない Hymenoscyphus sp. no.21
J. 子嚢胞子は 20 μm. を超える → M
M. 子実層面はオリーブ色を帯びる Hymenoscyphus sp. no.7
M. 子実層面は白色ないしクリーム色 → N
N. 双子葉植物の枯茎に生じる ニセビョウタケ = Hymenoscyphus scutula
N. 単子葉植物の枯稈に生じる Hymenoscyphus sp. no.3
F. 木本性の植物遺体上に生じる → O
O. 朽木上に生じる → P
P. 比較的長い柄がある Hymenoscyphus sp. no.9
P. 柄は短い Hymenoscyphus sp. no.12
O. 朽木上以外に生じる → Q
Q. 落葉上に生じる → R
R. 子嚢胞子は大型の油球を含まない → S
S. 針葉樹の落葉に生じる → T
T. マツの落葉に生じる マツバチャワンタケ = Piceomphale pinicola
T. カラマツの落葉に生じる Lambertella advenula
S. 広葉樹の落葉に生じる → U
U. 子嚢盤は径 1 mm. まで、淡ピンク色 Hymenoscyphus sp. no.18
U. 子嚢盤は径 1 mm. 以上、白色、柄は短い → V
V. 托髄層には大型の球形細胞が混じる Hymenoscyphus sp. no.10
V. 托髄層に大型の球形細胞はみられない Hymenoscyphus immutabilis
R. 子嚢胞子は大型の油球を含む → W
W. 子嚢胞子の上端は横方向に曲がる (scutuloid) → X
X. クスノキの落葉に生じる Hymenoscyphus sp. no.17
X. クスノキ以外の落葉樹の落葉に生じる Hymenoscyphus sp. no.2
W. 子嚢胞子の上端は真直ぐ → Y
Y. 子嚢胞子は 15 μm. を超える → Z
Z. 子実体は白色 Hymenoscyphus sp. no.15
Z. 子実体は黄色。フジの葉柄に生じる Hymenoscyphus sp. no.19
Y. 子嚢胞子は 15 μm. を超えない → a
a. 柄は短くて太く座生状 Hymenoscyphus sp. no.8
a. 柄は細い Hymenoscyphus sp. no.11
Q. 落葉以外(種子、殻斗など)に生じる → b
b. 子実体は乳白色 → c
c. 子嚢胞子は 20 μm. を超える Phaeohelotium geogenum
c. 子嚢胞子は 20 μm. を超えない → d
d. フジの莢果に生じる Phaeohelotium sp. no.2
d. ツバキの果皮に生じる よくわからない盤菌類 no.30
b. 子実体は白色ではない → e
e. チャンチンモドキの落果に生じる Hymenoscyphus? sp. no.1
e. ヤマザクラやミズキの種子に生じる Hymenoscyphus sp. no.5
e. クリのイガに生じる よくわからない盤菌類 no.47
e. ドングリの殻斗等に生じる → f
f. 鮮黄色、ほとんど無柄 Phaeohelotium sp. no.1
f. クリーム色から淡黄色、比較的長い柄がある Hymenoscyphus fructigenus
Lachnum 属とその近縁属類
A. 外面(毛の色)は少なくとも部分的に白色以外の箇所がある → B
B. 毛表面の顆粒は赤色 アカゲヒナノチャワンタケ = Erioscyphella paralushanensis
B. 毛表面の顆粒は赤色ではない(無色、黄色、褐色等) → C
C. 外面に褐色系の部分がある → D
D. 子嚢胞子は糸状 Erioscyphella abnormis
D. 子嚢胞子は長紡錘形 → E
E. 毛の先端に付着物がある Brunnipila sp. no.1
E. 毛の先端に付着物はない Lachnum sp. no.1
C. 外面に黄色系の部分がある → F
F. 明瞭な柄がある Lachnum sp. no.4
F. 柄はほとんど無い → G
G. 毛の先端にのみ黄色の物質が付着する Lachnum sp. no.8
G. 毛のほぼ全体に黄色の結晶が付着する → H
H. 子嚢胞子は 20 μm. を超える Trichopeziza sulphurea
H. 子嚢胞子は 20 μm. 以下 Trichopeziza sp. no.1
A. 外面(毛の色)は肉眼では類白色 → I
I. 子実層面は白色以外 → J
J. 子嚢胞子には明瞭な隔壁がある Lachnum sp. no.5
J. 子嚢胞子に隔壁は認めにくい → K
K. 子嚢胞子は糸状 → L
L. 毛の先端に付着物がある Erioscyphella sp. no.3
L. 毛の先端に付着物がない → M
M. 側糸は径 3 μm. を超える Lachnum apalum?
M. 側糸は径 3 μm. 未満 Erioscyphella sp. no.2
K. 子嚢胞子は糸状ではない → N
N. 朽木生 Lachnum sp. no.3
N. 朽木生ではない → O
O. 地表近くの植物の細根から生じる Lachnum pygmaeum
O. ササの枯稈に生じる → P
P. 子嚢胞子は 15 μm. 以下 Lachnum sp. no.13
P. 子嚢胞子は 15-20 μm. Erioscyphella sp. no.1
I. 子実層面は白色あるいは類白色 → Q
Q. 子嚢盤は比較的大型、3 mm. 程度になる Lachnum sp. no.21
Q. 子嚢盤は比較的小型、普通は 2 mm. 以下 → R
R. 子嚢胞子は糸状 → S
S. 外面の毛の先端に顕著な付着物がある → T
T. 毛先端の付着物は黄褐色でヤニ状 Lachnum sp. no.14
T. 毛先端の付着物は無色で結晶状 Lachnum sp. no.15
S. 外面の毛の先端に顕著な付着物はない → U
U. ササ類の枯稈に生じる Lachnum sp. no.7
U. ブナ科植物の落葉に生じる → V
V. 子嚢胞子は 40 μm. 以上 Erioscyphella sp. no.4
V. 子嚢胞子は 40 μm. 以下 シイカシヒナノチャワンタケモドキ = Erioscyphella sinensis
R. 子嚢胞子は糸状ではない → W
W. 外面の毛の先端には結晶状物質が付着する → X
X. 子嚢胞子は 10-15 μm.、ネジキの落葉に生じる ネジキヒナノチャワンタケ = Incrucipulum longispineum
X. 子嚢胞子は 20 μm. 以上 フトゲヒナノチャワンタケ = Incrucipulum ciliare
W. 外面の毛の先端に結晶状物質は付着しない → Y
Y. 子嚢胞子は 12 μm. を超える → Z
Z. 双子葉植物上に生じる → a
a. イタドリの枯茎に生じる Lachnum sp. no.2
a. アラカシの落葉に生じる Lachnum sp. no.17
Z. 単子葉植物上に生じる → b
b. ササ類の枯稈に生じる Lachnum sp. no.6
b. ススキの枯稈に生じる Lachnum sp. no.10
b. タケノコの皮に生じる Lachnum sp. no.12
Y. 子嚢胞子は 12 μm. 以下 → c
c. シダ植物上に生じる → d
d. 外面の毛の先端は膨らむ Lachnum sp. no.22
d. 外面の毛の先端は膨らまない Lachnum sp. no.23
c. 種子植物上に生じる → e
e. イタドリなどの枯茎に生じる シロヒナノチャワンタケモドキ = Lachnum nudipes
e. 落葉上に散生する Lachnum sp. no.9
e. 単子葉植物上に生じる → f
f. ササ類の枯稈に生じる。外面の毛は 80 μm. 以上、先端は膨らみ、内容物は無色 Lachnum sp. no.18
f. ススキの枯稈に生じる。外面の毛は 80 μm. 以下、先端は殆んど膨らまず、内容物は淡黄色 Lachnum sp. no.20
e. 普通は朽木や枯枝などの木質部に生じる → g
g. 子実体は傷つけると速やかに黄変する Lachnum sp. no.11
g. 子実体は傷つけても黄変しない → h
h. 側糸は子実層より顕著に (10 μm. 程度以上) 抜き出て、太い槍状 シロヒナノチャワンタケ = Lachnum virgineum
h. 側糸は子実層と殆んど同じ高さ、突出しても 10 μm. 程度以下 → i
i. 側糸は太く、最大径は 4 μm. を超える Lachnum sp. no.16
i. 側糸は細く、最大径は 4 μm. 以下 → j
j. 子嚢基部にかぎ形構造は無い。子嚢胞子は楕円形 Lachnum brevipilosum
j. 子嚢基部にかぎ形構造がある。子嚢胞子はやや紡錘形 Lachnum sp. no.19
(従来の)Peziza 属
子嚢先端がアミロイドという特徴でまとめられ、多くの種を含んでいた Peziza 属は、遺伝子解析の結果などから多系統群であることが明らかにされています。
最近 Van Vooren によって複数の属に分割され、転属処理された種には邦産のチャワンタケ属菌も含まれています。(cf. Ascomycete.org ; 12(4), p. 179-192).
一度に修正するのは大変なので、画像の追加などの機会に少しづつ修正することにして、とりあえず従来 Peziza とされていたものを、ここにまとめて扱います。
顕微鏡で観察しやすい子嚢胞子表面の特徴で大きく A から E の五つの群に分けます。
なお、子嚢胞子表面の疣状突起は、一般的にコットンブルーによく染まります。
A. 平滑あるいはほとんど平滑
B. 疣状ないし針状の突起があり、ほぼ一様に分布する
C. 疣状ないし針状の突起は不均一に分布するか、両端に大きな突起がある
D. 畝状、脈状、あるいは不完全な網目状の突起がある
E. ほぼ完全な網目状の突起がある
A. 子嚢胞子表面は平滑あるいはほとんど平滑。
a1. 糞生菌 Peziza sp. no.7
a1. 焚火跡に生じる Peziza sp. no.6
a1. 海浜砂地に生じる スナヤマチャワンタケ = Peziza ammophila
a1. 上記以外の場所(地上、腐朽木、腐食質上など)に生じる → a2
a2. 托組織は層構造をなさない(少なくとも明瞭ではない) → a3
a3. 子嚢胞子は平均 20 μm. 以上 Peziza sp. no.9
a3. 子嚢胞子は平均 15-20 μm. Peziza sp. no.22
a3. 子嚢胞子は平均 15 μm. 以下 → a4
a4. 子嚢盤外面に微毛状に立ち上がる短い菌糸がある。子嚢胞子側面にはゼラチン質の付属物がない イバリチャワンタケ = Peziza moravecii
a4. 子嚢盤外面には立ち上がる菌糸がない。子嚢胞子側面にはゼラチン質の付属物がある Peziza sp. no.19
a2. 托組織は層構造をなす(中央付近に絡み合い菌組織の層がある) → a5
a5. 子実層面は薄いレモン色を帯びる Peziza sp. no.4
a5. 子実層面は薄いピンク色を帯びる Peziza sp. no.11
a5. 子実層面は上記以外の色 → a6
a6.側糸の中央付近の細胞は顕著に膨大する → a7
a7. 腐植質上に発生する。子嚢胞子は平均 15 μm. 以上 Peziza varia
a7. 冬期、地上に発生する。子嚢胞子は平均 15 μm. 以下 Peziza sp. no.21
a6.側糸は糸状で細胞は膨大しない → a8
a8. 地上生 チャイロワンタケ = Peziza repanda
a8. 朽木生 → a9
a9. 子嚢胞子は平均 14 μm. 以下 Peziza sp. no.10
a9. 子嚢胞子は平均 14 μm. 以上 → a10
a10. 子嚢盤外面は糠状、縁は鋸歯状 Peziza micropus
a10. 子嚢盤外面はほぼ平滑、縁は全縁 Peziza sp. no.20
B. 子嚢胞子表面の突起は疣状ないし針状の突起があり、ほぼ一様に分布する。
b1. 疣は大型 → b2
b2. 子実体は傷つけると黄変する キゾメチャワンタケ = Paragalactinia succosa
b2. 子実体に黄変性は無い Peziza sp. no.17
b1. 疣は小型 → b3
b3. 成熟した子嚢胞子は褐色を帯びる → b4
b4. 側糸先端に付着物は無い Peziza sp. no.18
b4. 側糸先端にはヤニ状の物質が付着する → b5
b5. 子嚢胞子は顕著な油球を含む Peziza sp. no.16
b5. 子嚢胞子は油球を含まない Peziza sp. no.5
b3. 子嚢胞子は成熟してもほぼ無色 → b6
b6. 腐食質上に生える Peziza sp. no.8
b6. 焼け跡に生える → b7
b7. 子実層面は紫色を帯びない Peziza echinospora
b7. 子実層面は紫色を帯びる → b8
b8. 子嚢胞子は 13 μm. 以上になる Peziza violacea?
b8. 子嚢胞子は 13 μm. を超えない Peziza sp. no.12
b6. 上記以外の場所に生える → b9
b9. 子嚢胞子表面の疣はほぼ球形 Peziza celtica?
b9. 子嚢胞子表面の疣はやや縦に長い Peziza sp. no.14
C. 子嚢胞子表面の疣状ないし針状の突起は不均一に分布するか、両端に大きな突起がある。
c1. 両端には円錐形の付属物がある Peziza apiculata
c1. 両端は疣が融合して盛り上がる → c2
c2. 紫褐色の大型種 ニセクリイロチャワンタケ = Phylloscypha phyllogena
c2. 黄褐色の小型種。側糸先端は膨らんで折れ曲がり、ゴルフクラブ状。Peziza sp. no.1
D. 子嚢胞子表面の突起は畝状、脈状、あるいは不完全な網目状の突起がある。
d1. アンモニア菌。突起は分岐の少ない畝状で片面に2-4本程度。ウネミノイバリチャワンタケ = Peziza urinophila
d1. アンモニア菌ではない。地上生あるいは焼け跡生 → d2
d2. 子嚢胞子は褐色を帯びる → d3
d3. 托組織には層構造が見られる Peziza sp. no.13
d3. 托組織に層構造は無い Peziza sp. no.3
d2. 子嚢胞子は無色 → d4
d4. 子実層面は淡色 Peziza sp. no.15
d4. 子実層面は褐色ないし紫色を帯びる → d5
d5. 焼け跡に生える Peziza ostracoderma
d5. 地上生の大型種 クリイロチャワンタケ = Legaliana badia
E. 子嚢胞子表面にはほぼ完全な網目状の突起がある。Peziza guizhouensis
Scutellinia 属とその近縁属
属の判定は肉眼でも比較的容易な一方、種の同定が難しく、子嚢胞子表面や剛毛などの丁寧な観察が必要ですが、未記載種も多そうです。
2012年の秋に、Scutellinia 属の研究を進めているフランスの Beñat Jeannerot 氏に私の採集した標本をいくつか見てもらう事が出来ました。
日本の図鑑に普通種として掲載されているアラゲコベニチャワンタケ (Scutellinia scutellata) は、実際にはむしろ稀な種の様です。
以下の表の一部はその同定結果を基にしています。
A. 子嚢胞子の内容物は一様 Cheilymenia sp. no.1
A. 子嚢胞子の内容物は泡状 → B
B. 子嚢胞子は球形ないし亜球形 → C
C. 植物遺体上に発生する Scutellinia sp. no.7
C. 地上生 → D
D. 子嚢胞子表面の疣状突起は連絡して網目状になる Scutellinia sp. no.11
D. 子嚢胞子表面の疣状突起は互いに連絡しない → E
E. 子嚢胞子表面の疣状突起は半球形で大型 Scutellinia sinensis
E. 子嚢胞子表面の疣状突起は截頭形 →F
F. 疣状突起は高さ 1 μm. 以下 Scutellinia sp. no.10
F. 疣状突起は高さ 2 μm. 以上 マルミアラゲコベニチャワンタケ = Scutellinia trechispora
B. 子嚢胞子は楕円形 → G
G. 子嚢胞子表面はほぼ平滑 Scutellinia setosa
G. 子嚢胞子表面は疣状、網目状等で平滑ではない → H
H. 子嚢胞子表面の突起は網目状(時に不完全な場合もある)→ I
I. 縁毛は長さ 1 mm. 未満、基部は分岐しない Scutellinia sp. no.8
I. 縁毛は長さ 1 mm. を超え、基部は根状に分岐する Scutellinia pennsylvanica
H. 子嚢胞子表面の突起は細点状や疣状、細く連結する場合もある → J
J. 子嚢胞子表面の突起は粗大(600倍程度で容易に存在が確認でき、片面短径上に数個程度) → K
K. 植物遺体上に発生する → L
L. 子嚢胞子表面の疣状突起は最大径で 3 μm. を超える Scutellinia badioberbis
L. 子嚢胞子表面の疣状突起は最大径で 2.5 μm. 程度まで → M
M. 疣状突起の高さは 1 μm. を超える Scutellinia colensoi
M. 疣状突起の高さは 1 μm. を超えない Scutellinia sp. no.14
K. 地上生 → N
N. 子嚢胞子表面の疣は半円形で互いに連絡しない。縁毛は短い Scutellinia uliginosa
N. 子嚢胞子表面の疣は截頭状で時に互いに連絡する。縁毛は比較的長い → O
O. 子嚢胞子表面の疣は高さ 3 μm. 以上になる。縁毛は 800 μm. 程度 Scutellinia fujianensis
O. 子嚢胞子表面の疣は高さ 3 μm. 以下。縁毛は 500 μm. 程度まで Scutellinia sp. no.13
J. 子嚢胞子表面の突起は細点状 → P
P. 縁毛は下面の毛に比べて著しく長い Scutellinia crinita?, Scutellinia scutellata, Scutellinia sp. no.6
P. 縁毛は短い → Q
Q. 縁毛は淡色 Scutellinia? sp. no.4, Scutellinia sp. no.9
Q. 縁毛は褐色 → R
R. 縁毛の基部は太い分枝に分かれる Scutellinia cejpii
R. 縁毛の基部に太い分枝は無い → S
S. 縁毛はまばらで肉眼では確認しがたい Scutellinia sp. no.12
S. 縁毛は密に生じ、肉眼で確認できる Scutellinia sp. no.3, Scutellinia sp. no.5
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